9/9(土) JFL第20節 vs 東京武蔵野ユナイテッドFC|マッチデープログラム掲載 澤井直人インタビュー番外編

9/9(土) JFL第20節 vs 東京武蔵野ユナイテッドFC|マッチデープログラム掲載 澤井直人インタビュー番外編

ホームゲームで配布する「マッチデープログラム」。そこに掲載されるインタビュー番外編を、試合前にWebでお届け。

今節の東京武蔵野ユナイテッドFC戦の表紙とインタビューを飾ったのは、背番号14番 澤井直人。東京ヴェルディで育ち、ケガに泣かされながらも、海外挑戦も経て新宿の地にたどり着いたハードワーカーのこれまでのサッカー人生、そしてクリアソンでの変化を語ってもらった。


―澤井選手のサッカー人生を振り返ると、まず欠かせないのが東京ヴェルディという存在だと思います。アカデミーには10歳の頃から所属していましたが、どんな思い出がありますか。

小4から毎日通っていて、両親といるよりもヴェルディの仲間といる時間の方が長くて、ここが自分の居場所だなと感じていました。

ヴェルディはトップチームからジュニアまで同じ練習場にいるので、小学校の時もすぐそこにトップチームの選手が、その時だとフッキ選手(アトレチコ・ミネイロ)とかがいて、身近にプロとはこういうものだと感じさせてくれる存在がいたのですごく恵まれていたなと思います。

トップチームの選手が自分たちの練習終わりにジュニアのグラウンドに来てくれて、話しかけてくれたりボール回しに入ってくれたり。なので自分もトップチームに昇格した後もそういうことは心がけていましたし、クリアソンもいずれそんなチームになっていけたらなとは思います。

―トップチーム昇格後は1年目の開幕戦から出場し順調に出場機会を増やしていました。しかしそんな中で4年目の開幕前にアキレス腱断裂の大ケガを負ってしまいましたが、その時はどのように感じていましたか。

その年にロティーナ監督が来て、自分にとって初めての外国人監督でアピールしていかなくてはいけないという時のケガで、気持ち的には正直すごく落ち込みました。それまで大きなケガをしたこともなかったですし、アキレス腱から「パチっ」と音が鳴って、これはやばいなという感じで。

ただそこから復帰できたのは周りの人のおかげで、特にファンの皆さんには救われました。その年の開幕戦で僕の背番号だった14のフラッグを掲げてくれていて、それを病室からテレビで見ていて「こんななよなよした姿は見せられない」と思いました。「パワーアップできるチャンス」と思考のスイッチを切り替えられました。

―復帰後の2018年、フランス2部のアジャクシオへの期限付き移籍での加入も澤井選手を語る上では外せないと思います。どのような経緯で移籍は実現しましたか。

アキレス腱が治ってしばらくはヴェルディでプレーしていましたが、自分でもいまいちしっくりきていなくて、試合にもなかなか絡めていませんでした。

そんな中でヴェルディとアジャクシオが業務提携を結びました。自分がヨーロッパでプレーしたいということをクラブが知ってくれていたので行ってみるかとなりました。

決まってすぐ2週間後には出発だったんですが不安はなくて、英会話もずっとやっていたので楽しみでした。ただ行ってみるとアジャクシオがあるコルシカ島は英語を喋れる人が一人もいなくて(笑)。また 一からフランス語を勉強し始めましたけど、せっかくもらったチャンスだから楽しもうという気持ちでしたね。

―日本とフランスの違いを大きく感じたのはどんな場面でしたか。

海外移籍した選手がよく言う「パスが来ない」というのはその通りでした。チームとしても初めて受け入れるアジア人でしたし、そもそもコルシカ島にアジア人がそこまで多くはありません。「日本人ってどんな人なんだろう」という興味と牽制みたいなものが向こう側にはあって、最初はプレー中でも私生活でも距離があるなと感じました。

ただ、その中にもヴェルディと似ている部分もあって、練習の時から熱く要求し合って、試合になったら一つになって戦うみたいな。ファンも日本以上に生活の一部としてサッカーを捉えていて、自分が試合に出て活躍して勝った後、スーパーマーケットに行けばファンの人が奢ってくれたりとかもして(笑)。一方で、負ければ風当たりも強くて。この関係性がいいものかは分かりませんが、1試合にかけるファンの皆さんの気持ちのかけ方には、スポーツの価値を感じました。

―クリアソンには昨季から在籍していますが、プロではない立場でサッカーをすることでサッカーに対する考え方の変化はありましたか。

平日働いている中で会った人が土日に応援しに来てくれるというのが新鮮ですね。プロだった時はよく「ファンのために頑張ります」と言っていましたが、もちろんその時は本気でそう思っていましたけど、実際にどんな人なのかというところまでは考えられたことがなくて。

クリアソンに来て、誰が、なぜ自分たちを応援してくれているのかを強く知れました。働いている中で会った人が試合を観て連絡をくれるというのが、すごいパワーになっていますし、ありがたいなと感じています。

応援してくださる方と双方向でコミュニケーションが取れている感覚は、だからこそ自分もサッカーを通じて、観てくださる方の明日の活力になりたいと思っています。

―さまざまなサッカーを経験した中で、クリアソンでのプレーや活動を通してサッカーでどんなことを届けていきたいですか。

サッカーがなくても生活はできて、生きていくことには困らないと思います。それでも自分たちがプレーしている姿で感動を届けたり、来てくれた人に満足して帰ってもらえたりする、そんな姿を体現していきたいと思っています。

「週末になればクリアソンの試合がある」と楽しみにしてくれる人をもっと増やしていきたいですし、それがクリアソンに限らず、日本中、世界中に毎週あれば、もっと豊かさを届けられて、サッカーの価値自体が上がるのではないかなと。それをクリアソンが、新宿という大きな街から見せていかなくてはいけないと思います。

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