鈴鹿ポイントゲッターズ 三浦知良選手 × 株式会社Criacao 社外パートナー 小林祐三 10.9 国立開催 特別対談/前編「鈴鹿と新宿の試合も、その歴史の一部に」

鈴鹿ポイントゲッターズ 三浦知良選手 × 株式会社Criacao 社外パートナー 小林祐三 10.9 国立開催 特別対談/前編「鈴鹿と新宿の試合も、その歴史の一部に」

開催まで2週間を切った、クリアソン新宿の国立競技場での試合。迎える鈴鹿ポイントゲッターズには “旧”国立競技場時代から様々な歴史をつくってきた「キングカズ」こと三浦知良選手が在籍。

10.9 はリーグの1試合でありながらも「国立競技場というスタジアムを使って、新宿、サッカー界を盛り上げる一日にしたい」というクリアソンの想いに共感いただき、昨年までクリアソン新宿でプレーした小林祐三との対談が実現。JFLでプレーすること、地域とサッカーの関係性について、そして国立への想いを聞いた。


三浦知良
鈴鹿ポイントゲッターズ 背番号11番。1967年、静岡県静岡市生まれ。静岡学園高校中退後、ブラジルに渡る。帰国後はヴェルディ川崎、京都サンガ、ヴィッセル神戸、横浜FCほか海外の数クラブを経て、2022シーズンに鈴鹿ポイントゲッターズに加入。

小林祐三
株式会社Criacao 社外パートナー。1985年、東京都羽村市生まれ。静岡学園高校卒業後、柏レイソル、横浜F・マリノス、サガン鳥栖を経て、2021シーズンにCriacao Shinjukuに加入、JFL昇格に貢献。同年に引退し、現在はサガン鳥栖強化部。

井筒陸也(ファシリテーター)
株式会社Criacao PR・デジタル戦略室室長。

 

鈴鹿と新宿の試合も、その歴史の一部に

井筒陸也(以下:井筒)
まずは三浦選手、10月9日のクリアソン新宿vs鈴鹿ポイントゲッターズの試合の、国立競技場への会場変更が決まったとき、どんな気持ちでしたか?

三浦知良選手(以下:三浦選手)
率直に言って、嬉しかったです。「サッカーの聖地」と呼ばれる場所で、まだ自分たちのチームが試合をできると思っていなかったので、本当に嬉しかったです。

井筒
小林さんはいかがでしたか?

小林祐三(以下:小林)
もう一年、現役をやればよかったなと思いました(笑)。

井筒
三浦選手は、国立競技場で、特に公式戦ができるということについての喜びを語っている記事も拝見しました。

三浦選手
ヴェルディ川崎をはじめJリーグでも、日本代表の試合でも、特に90年代は何度も公式戦で国立競技場を使いました。新しく生まれ変わった国立で、現在55歳…また違った気持ちでピッチに立てるのではないかと楽しみにしています。

小林
カズさんの中で、印象深い国立での試合はありますか?僕は小学生のころ、ヴェルディ川崎vsガンバ大阪の試合を観に行ったことを覚えています。

三浦選手
あのころ、5万人以上を収容できるスタジアムが少なかったんです。国立、それからユニバー(ユニバー記念競技場/兵庫県)、そして長居(YANMAR STADIUM NAGAI/大阪府)が少し後にできたのかな。だから、大きな試合の開催は国立に集中していました。

僕の日本代表でのゴールは国立が最多らしいのですが、単純に試合数が多かったんだと思います。最高の競技場で、最高の舞台で、自分たちにとってホームのように思っていました。

井筒
新しくなった国立競技場はいかがでしたか?

三浦選手
形は変わりましたが場所は同じなので、感慨深い気持ちは変わりません。新しい世代が、高校サッカーも含めて、新しい歴史を作っていってもらいたいなと。また聖地として受け継がれていくような、良い試合がされていく…。

パリの試合(7月20日 Paris Saint-Germain JAPAN TOUR 2022  PSG vs 川崎フロンターレ)を観に行ったとき、10月に自分たちがここでできるんだなあとワクワクするものがありました。鈴鹿と新宿の試合も、その歴史の一部になることを願っています。

ブラジルに行ったときと変わらない

小林
カズさんとの思い出と言えば、2年前、僕が鳥栖で選手をしていたときに試合をさせてもらったことが、昨日のように思い出されます。コロナが大変な時期でした。

三浦選手
よく覚えています。僕はそのシーズン初めて先発の試合でしたし、あの試合は勝たせてもらいましたし(笑)。

小林
カズさんがキャプテンマークを巻いていて、試合前にコイントスをさせてもらいました。憧れの選手とそういう場に立たせてもらって、写真は大事にしています。僕は少年の顔をしていました。

井筒
小林さんの引退試合では、三浦選手からメッセージが届いたと聞いています。

小林
「サプライズメッセージがあります」と発表されたとき「まあ、この選手かなあ」と計算してしまうものだと思うんですが(笑)…。その予想の遥か上で、僕が一番びっくりしました。

僕も35歳まで現役をやり、同年代、年下の選手が引退していくの見てきましたが、カズさんは僕の何倍もその経験をしているわけです。ご自身はピッチに立ち続けていて、それをご覧になるのはどういう心境なんでしょうか。

三浦選手
きっと全員がサッカーが好きでやってきて…、Jリーグで活躍している選手はある意味サッカーしかやってこなかったと言ってもいいかもしれません。夏休み、周りが遊んでいるときでも、暑い中で倒れそうになっても、努力して、やっとプロになって…。それを辞めるというのは、正直僕にはまだどういう気持ちなのか分かりません。

ただ「こういうことでモチベーションが持たなくなるんだろうな」ということは長く続けているからこそ、よくわかります。若いころは、練習で走れば走るほど、試合で走れたわけです。しかし30歳を超えると、そうじゃなくなる。移籍をして、サッカーを続ければ続けるほど給料が低くなったりもする。戸惑うわけです。

努力と結果や、プロって遊びじゃなくて生活なのでその生活が、整合性が合わなくなる。辞めていく選手は、その中で決断したんだろうなと。

彼らを見て、ケガをのぞけば「みんなまだできるでしょ」と思います。僕から見るとそりゃそうですよね(笑)。ただ、その人が思って決断したところが、それが人生なんだなと思います。

小林
僕は、Jリーグにいた最後、自分がやっているサッカーに対して「まっさらな気持ちでピッチに立てない」と感じていました。カズさんが言うような、整合性が取れないということだと思います。

でも、勝手なイメージですけど、カズさんはご自身でたくさんのものを抱えてはいるけど、カズさんはカズさんとして、まっさらで、みんなが知っているカズさんであり続けているように見えます。どうしてそんなことができるんでしょうか。

三浦選手
どうしてでしょう…。サッカーが好きなのはみんな好きですよね。でも、好きなだけではここまではできなくて…。僕は、今でもサッカーをやりたい気持ちが強いんです。ピッチに立ちたい気持ちが強い。それだけじゃないけど、でも、それが一番です。

その気持ちは、ブラジルに行ったとき、ブラジルで試合に出られなくて悔しかったとき、そのときと変わらないまま同じなんですよ。プロになったときと今と。成長してないのかなと思うくらい(笑)。

自分でも「大人になれよ」とも思うけど、やっぱり嫌で、悔しいんです。「自分はこれくらいやってきたから、もう試合出られなくても」とはどうしても思えない。練習試合でも90分出たい。それが無理なことは分かっているんですが、自分だけはそう思ってない。

でも、こういう気持ちがあるならまだやれるなと。

NEXT
「鈴鹿ポイントゲッターズ 三浦知良選手×株式会社Criacao 社外パートナー 小林祐三 10.9国立開催 特別対談 後編」に続く(近日公開予定)


試合概要
10月9日 (日) 13:00 Kick-off
JFL 第24節 vs 鈴鹿ポイントゲッターズ
@ 国立競技場

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