歓喜のJFL昇格。これからも変わることなく、サッカーを通じた感動と豊さの創造を|選手が書く!マッチレビュー JFL・地域リーグ 入れ替え戦 vs FC刈谷 文=#51 小林 祐三

歓喜のJFL昇格。これからも変わることなく、サッカーを通じた感動と豊さの創造を|選手が書く!マッチレビュー JFL・地域リーグ 入れ替え戦 vs FC刈谷 文=#51 小林 祐三


12月18日 (土)
2021年度 JFL・地域リーグ 入れ替え戦

■試合結果
Criacao Shinjuku 4(2-0、2−0)0 FC刈谷

■ 得点(アシスト)
45+2分 17 池谷 友樹(50 岡本 達也)
45+4分 3 井筒 陸也(2 瀬川 和樹)
78分 19 大谷 真史
85分 9 原田 亮(16 伊藤 大介)

■メンバー
<スタメン>
GK:26岩舘
DF:3井筒、15米原、51小林
MF:2瀬川、8須藤、13高橋(滉)、17池谷、20樋口
FW:19大谷、50岡本
<サブ>
1阿部、25千葉、16伊藤(大)、23西山、24森村、27岡野、9原田

■交代
69分 岡本⇒伊藤大、須藤 ⇒ 西山、池谷 ⇒ 森村
81分 高橋滉 ⇒ 千葉
84分 大谷 ⇒ 原田


■マッチレビュー(文= #51 小林 祐三)
「こういう大事な試合の前は、みんな『ベストを尽くそう』ってよく言うけど、ベストを尽くすって簡単じゃないし、技術が必要だと思う。ただクリアソンは今年1年、もっと言えばクラブができたときからずっと、そこを追求してきた。だから自分たちにはベスト尽くす技術がある。今日、この大事な試合で必ずベストを尽くせるって信じている」

試合前のミーティング。キャプテンの井筒(#3)が選手・スタッフにこんな話をしました。勝ちたい、とにかく勝ちたい。誰もがそう思っているなかで 彼が説いたのは、クラブが、自分たちが何を大切にしてきたか。その一点でした。

結果はどうなるかわからないけど、自分たちは確実にベストを尽くし、クリアソン史上最高を更新する。ミーティング後、選手・スタッフはみんな、その想いでそれぞれの持ち場につきました。

場所は、愛知県名古屋市港サッカー場。今シーズン一番の寒気が舞い込む中、FC刈谷(JFL17位)との運命の一戦が幕を開けた。勝てば文句なしにJFL昇格。ただし、引き分け(延長戦は行うがPK戦は行わない)はFC刈谷のJFL残留が決まる変則的なレギュレーション。点を取らなければいけないクリアソン新宿と、極論、スコアが動かなければそれでもいいFC刈谷。

前半は硬さもあり、なかなかボールが落ち着かない。さらに今シーズン初めて経験する水が撒かれた天然芝のピッチ、JFL公認球(普段、我々が練習や公式戦で使用するものとは違うボール)に苦戦する選手が多く、理想的な立ち上がりにはならなかった。

しかし、ここで関東リーグや地域CLでの経験が生かされる。「自慢の3バック」を中心に嫌な時間を耐えると、中盤の選手たちが環境に適応しはじめ、徐々にクリアソン新宿ペースに。

それでもお互い決定機らしい決定機が作れず、このまま前半終了かと思われたアディショナルタイムに試合が動く。左サイドでイニシアチブを握った瀬川(#2)から岡本(#50)へ浮き球のパス、それを頭で落としたところに池谷(#17)が絶妙なタイミングで走り込み、ゴール右隅にボレーシュートを流し込む。クリアソン新宿が先制。練習でも見たことのないスーパーゴールが決まった。

さらにその2分後、入念に準備されたセットプレー。右サイドからのコーナーキック。瀬川(#2)の素晴らしいボールに井筒が反応し頭で合わせる。これで2-0。試合を有利な状況にし、ハーフタイムを迎える。

ハーフタイムに役割を整理し、テンションが上がりすぎないように声を掛け合い、後半のスタートを切る。しかし、強まった風下の風で、またも難しい時間帯を迎える。ここで監督成山が動く。

得意の「三枚替え」でギアを上げる。大一番でもまったくブレない采配に、交代で入った選手たちが応えた。伊藤大(#16)、森村(#24)、西山(#23)がボールの回収率を上げ、ゲームをコントロール。チームに息継ぎの時間を与える。

すると78分、この男に待望のゴールが生まれた。右サイドからのクロスを瀬川がシュート、そのこぼれ球に大谷(#19)が反応。ストライカーらしく右足を振り抜き、一撃でFC刈谷の息の根を止める。3-0。

試合の大局は決したが、クリアソン新宿は攻撃の手を緩めない。バランスを崩し、無謀な攻撃を仕掛けるFC刈谷。85分、そのFC刈谷ディフェンス陣を嘲笑うかのようなスルーパスが伊藤大(#16)から、直前に投入された原田(#9)に通る。GKとの駆け引きを制しゴール。

原田にとってはこの試合ファーストプレーがゴールに繋がった。GK岩舘(#26)を中心に最後まで集中力を切らさずにクリーンシートを達成。終わってみれば4-0。運命の一戦はクリアソン新宿の完勝で幕を閉じた。

そしてクリアソン新宿、念願のJFL昇格が決定。ピッチに歓喜の輪が広がり、スタンドからは惜しみない拍手が送られた。試合に出た選手、出なかった選手、スタッフ、運営、それぞれの立場はありつつ、最後は誰が誰だかわからないテンションで抱き合い、みんなで涙を流して喜んだ。

そしてこんな素敵な風景を、僕は初めて見た。

 

■ レビュー担当 小林のコメント
いつもクリアソン新宿を応援していただき、ありがとうございます。背番号 51番の小林祐三です。私事ではありますが、この試合が現役最後の試合となりました。試合の裏側と言えるかわかりませんが、この日、私が最も意識していたことは、余計な感情をすべて排除することです…

「現役最後」「これに勝ったらJFL」こういった感情は、サッカーをプレーする上で何の役にも立ちません。すべてを捨てて、どれだけ純粋な状態でピッチに入れるか。冷静な判断をし続けられるか。この試合で、私自身に課せられた役割はいつも通りの自分でいることでした。

しかし、それはとても難しいことです。

半泣きで送り出してくれるメンバー外の選手や、たくさんの方からの応援メッセージ。そういったものを見て感情的にならないのは難しいことです。

皆様、この試合の私のプレーはいかがでしたか?いつも通りでしたか?緊張してましたか?いつもより良かったですか?私自身、いつも通りだったかなと思います。手前味噌ですが、それはとても価値のあることだったと思っています。

最後の試合、様々なものがかかった試合で、いつも通りできるなんて。よく頑張ったなって思います。

皆様、長い長いシーズンでしたが、クリアソン新宿を支えていただき、ありがとうございました。皆様と共に闘ったこのシーズンを、絶対に忘れないと約束します。これからもクリアソン新宿をよろしくお願いします。またお会いできる日を楽しみにしております。

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