「選手と主務の両立」大阪大学サッカー部山﨑さん

第19回リレーブログ「学生スタッフ キャラバンpresented by Criacao」 を更新しました。

学生スタッフ キャラバン presented by Criacao

全国の学生スタッフがリレー形式で「学生スタッフが与える価値は何か」「自分自身は、その価値をどのように体現するのか」という2つのテーマについて、自身の言葉で書いてもらいます。これは、弊社の理念である「スポーツの価値を通じて、真の豊かさを創造し続ける存在でありたい」を、体育会の現場から紐解いて頂きます。

第19回は、大阪大学体育会サッカー部学生スタッフの3年生山﨑奏(やまさき かなで)さんです。

大阪大学体育会サッカー部 3年 主務 山﨑 奏
兄の影響で3歳の時にサッカーを始める。高校サッカーが不完全燃焼に終わってしまい、大学は体育会でサッカーをしたいという想いから1年間の浪人生活を経てサッカー部に入部。2020年12月から2021年11月までの1年間、選手兼主務として活動。
役職
主務

「学生スタッフが与える価値は何か」
「自分自身は、どのように価値を体現するのか」

 はじめまして。大阪大学体育会サッカー部にて、2021年度主務を務めました山﨑奏と申します。このスタッフキャラバンを担当して欲しいというお話をいただき、自分に何が書けるのか、読んだ方に何を伝えられるのかを精いっぱい考えました。特に素晴らしい功績を残したわけでも、歴代の主務に比べて仕事ができたわけでもありません。

ただ、今まで登場された方々と少し異なるのは、選手とスタッフを同時にしていたことでしょうか。主務という責任ある役職を務めさせてもらえたことで、選手として毎日サッカーだけをしていれば良かった日々とは、違うことを考えるようになりました。そのことについて書かせていただきたいと思います。

「部のお母さん」の意識だけではダメ

 阪大サッカー部は毎年、3回生の選手から主務を1名選出します。主務とは、部の対外的な窓口を務め、チームの予定を組む役職です。公式戦や練習試合の日程調整、試合運営、選手登録など、仕事内容は多岐に渡ります。そして、多方面から来る膨大な情報をまとめ、チームが強くなれるような予定を作り上げます。他の役職よりも多少仕事が多いので希望する人は少ないのですが、入部した時から度々けがをしていた自分は、試合に出られずチームに貢献できないのならば、役職で貢献すれば良いとの想いから、迷わず立候補しました。チームでの自分の存在意義を求めていたのだと思います。

前年度主務を務めていた先輩は引き継ぎの際、「主務はチームのお母さんのような存在だ」と言っていました。「お母さん」のおかげで毎日ご飯が出てきて、洗濯されているのが当たり前だと思ってしまうように、選手からすると「されていて当然」と思ってしまうもので、普段意識することはありません。

最初の頃は、「部のお母さん」をイメージして業務に取り組んでいました。部員が何不自由なくサッカーができる環境を作り上げる。そして、それが少しでもチームの勝利につながれば、自分は報われる。そんなことを考えていたのを覚えています。しかし、いつ頃からかAチームが勝利した「嬉しさ」に、自分がその勝利に何も絡めていない「悔しさ」が割って入り、それは日を増すごとに大きくなっていきました。「部のお母さん」の意識だけではダメなのだ、と気付いたのです。

誰も脱線しないように

 では、スタッフと選手どちらの視座も持つ自分は、何をイメージすべきなのか。毎晩考え続けて出した自分の答えは、「新幹線の最後尾車両」でした。

スタッフとして、主務として、全部員を支えていかなければならないのは、もちろんです。しかし、私は選手です。サッカーで上を目指すべき人間です。つまり「部員の面倒を見る」という心持ちだけではいけないのです。そこで、新幹線の例えに戻ります。先頭車両が後ろの車両を牽引する蒸気機関車とは違い、新幹線は全車両が動力源となり(N700系以降の新幹線は全部が動力車ではないのでは、というツッコミは受け付けておりません)、とてつもない速さで走っています。

部活動の理想像は、蒸気機関車型ではなく新幹線型。そして、阪大サッカー部という新幹線では、主将が皆の先頭車両となり、部員もそれに続いて列車を加速させる。自分はその最後尾車両として、付いていくだけでなく自らも動力源となり、皆を押し出しながら誰も脱線しないように支える。これが、一時期不眠症になりながら悩みに悩み続けた先に出た答えです。自分は何よりもサッカーを頑張らなければならないですし、下のカテゴリーに落ちてしまっても、けがをしてしまっても、自分がやるべきことは全て全力を尽くすようになりました。そして、それができて初めて周りの部員を気にかけ、後輩に積極的に話しかけたり、悩んでいる部員の話を聞いたり、という言わば「支える」ことをできるようになりました。

新たな役割が見つかる

 私は、これは選手兼スタッフだからこそのものではなく、学生スタッフ全体に通じるものであると思います。学生コーチ、マネジャー、トレーナー など、 それぞれの役割において「支える」だけでなく、「チームを自分が強くする」。そんな動力となる側面があるのではないでしょうか。サッカーで貢献できないことを理由に、立候補した主務というポジション。その意義を考え続け、自分なりに出した答えは、日々研鑽を積み、前に進み続ける仲間を、主務の業務だけでなく、自分がサッカーを頑張ることで後押しすることでした。自分の役割と本気で向き合った結果、新たな役割が見つかりました。

幸い、自分にはサッカー選手として生きられる期間があと1年残されています。3歳で始めたサッカーを、まさか22歳まで続けるとは夢にも思っていませんでしたが、こんなにも熱中できるものと出逢えた幸せを噛み締めながら、あと1年全力で取り組んでいきたいと思います。

稚拙な文章で恐縮ですが、ご容赦いただければ幸いです。偶然私の文章を読んで下さった方が、今一度自らの役割と向き合うきっかけになればと思います。

ご一読いただき、ありがとうございました。

体育会部活に向き合ったクリアソン社員

最後まで読んでいただいた皆さま、ありがとうございました。クリアソンにも体育会での活動に向き合ったメンバーがいます。そんなメンバーの想い、部活と就職活動についてなど、紹介した記事がありますので、気になる方はこちらも是非ご覧ください!!

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京都大学男子ラクロス部出身 2015年卒業 
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中央大学サッカー部出身 2018年卒業
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