ビジネスとサッカーに向き合った小林祐三の1年

昨年でサッカー選手を引退し、弊社も退社し、サガン鳥栖強化担当として戦うことを決断した小林祐三。サッカーをする彼については、様々なメディア等で注目され、想いを語ることもありました。

ただ、昨年の小林は、「スポーツの価値を通じて、真の豊かさを創造し続ける存在でありたい」というクリアソンの理念を、サッカーだけでなく、ビジネスからも実現していました。小林は、何をしていて、どんな豊かさを感じたのでしょうか。

今回は、クリアソンとの出会いから、社員としての1年間をインタビュー形式で振り返ります。

小林祐三
東京都羽村市出身生まれ、5歳からサッカーを始める。高校から親元を離れ、高校サッカーの強豪、静岡学園高校サッカー部に入部。その後、高卒で柏レイソルに加入。活躍を認められ、世代別代表にも選出される。2011年には、横浜F・マリノスに移籍。天皇杯優勝やJリーグ優秀選手賞も受賞する。それから2017年には、サガン鳥栖に移籍し、2020年にはキャプテンに就任。そしてプロサッカー選手を引退し、2021年1月から株式会社Criacaoに入社、Criacao Shinjukuに加入。同年12月で退社。2022年からサガン鳥栖の強化担当を務める。

では早速。クリアソンとの出会いはいつですか?

2015年の冬ですね。岡本から「セミナーをするので参加してくれませんか」といきなり連絡があったのが最初。(笑)

もともと達也とは、高校生からの付き合いで静岡県の選抜チームで同じでした。達也は、僕の1つ下の学年だったけど、色々な話をするうちに「面白いな」とは思っていて、それからお互い高卒でプロに入って、1年に1度くらい、ご飯へ行くような仲になりました。そんな感じだったのに、いきなりセミナーの誘いがあったので、驚いたのを覚えています。

それと連絡をもらった時は、正直行きたくない気持ちもありました。(笑)でも、達也がクリアソンで新しいことを始めていたのはSNS経由で知っていて、「応援したいな」という想いで参加しました。これがクリアソンとの出会いです。

2015年の出会いから入社まで少し時間が空きますが、クリアソンとの関わりはありましたか?

はじめの出会いから、入社までは長かったですね。6年の時間があります。でも、クリアソンとの関わりは続いていました。関わりがあったので、自分では勝手にインターン6年目で入社したと思っています。(笑)

2015年に出会って、2016年くらいから濃く関わりを持つようになりました。僕がセミナーに参加することもあれば、社員研修に講師として登壇することもあって、当時は、週1でオフィスにいることもありましたね。しかも、今あるオフィスではなく、日本ブラインドサッカー協会のオフィスを間借りしていた頃で、このオフィスを知らないクリアソンメンバーもいるんじゃないかと思います。

ただ2017年に、僕が横浜F・マリノスからサガン鳥栖に加入してから、関わる頻度は少なくなりました。でも、年末年始には、丸さん(丸山)や井筒とご飯に行くような関係は続いていましたね。

そんな感じだったけど、オフ期間のコンディション調整をしたくて、2019年の1月に初めて練習に参加させてもらいました。ここが、サッカークラブCriacao Shinjukuとの初めての接点です。今までは、セミナーに講師として登壇することもあり、体育会学生のキャリア支援をしていることや企業に研修をしている組織の一面しか知りませんでした。それで練習に参加してみたら、日中は仕事をしている人が本気でサッカーをしている様子が新鮮で、良いチームだなと思いました。

それから練習に参加した2019年の秋に、丸さんから「一緒にやらないか」とお誘いを受けました。悩みに悩んだけれど、丁重にお断りをさせていただきました。それから2020年夏にも、もう1度誘われ入社を決めたという経緯です。

これは完全に裏話だけど、2020年に2度目の誘いをもらうかなと感じた時は、食事が長くなることを予想して、お店を17時から予約していましたね。(笑)次の日の練習に支障をきたさないように。(笑)

そして入社することが決まってから、サッカーと仕事の両立をすることに関して、どんなイメージをしていましたか?

本気のサッカーと本気のビジネスについては、入社前はイメージできていなかったです。イメージしても分からなかったので、実際にやってみて両立が難しければ、難しいなりに向き合うという感じでした。

ただ、サッカーにおいては、プロサッカー選手だった頃の基準ではプレーをしなくていいと考えていました。そうやって決めつけるのも良くないと思いますが、1日の生活リズムも変わるので、形を変えてサッカーを本気ですれば良いと思っていましたね。例えば、絶対自分が試合に出ないといけない、活躍しないといけない、という状態ではなく、そのような環境から抜け出したからこそ、純粋にサッカーを楽しもうと思っていました。

実際に入社した直後は、どんな生活になりましたか?

入社した直後の1日は、朝からスーツを着て、実家から電車で1時間20分ほどかけて新宿のオフィスに行く。そこから、日中は様々な方面に入社の挨拶回りをしていました。それが終わって19時から21時まで練習をして、帰ってきて22時半で…(笑)そこからお風呂に入って、ご飯を食べるというような感じです。(笑)

入社直後が一番忙しかったですね。家も決まってなくて、実家から通っていたので通勤時間も長かったです。この時期は、イレギュラーでした。ただ家が決まって、時間が経てば生活にも慣れ、できることも増え、だいぶ落ち着きました。

入社直後に印象的だったことはありますか?

入社してすぐに、セミナーの打ち合わせで竹さん(竹田)にすごく怒られたことが印象に残っていますね。(笑)

僕が、お客様に対して「どう思いますか?」とか「御社にとって、どんな状態がベストですかね?」という話をした時に、打ち合わせ終了後に竹さんから「祐三君、そんなんじゃないでしょ。もっと自分の中で仮説を持って話さないとダメ」と言われました。続けて、「どうですか、とか、ふんわりした質問をしても相手が困るだけ。そもそも自分はどうしたいのかを話さないと。もともと祐三君は、そういうことができるでしょ。こういう世界に入ってきたから、相手を立てて、そういう聞き方をしているのかもしれないけど、そんなの全然いらないよ」と言われた。

その言葉に、ハッとさせられました。これまで僕は、サッカーをしてきて、ピッチ上で起きた問題を解決するために、何がダメなのかの仮説を立てて、味方とコミュニケーションを取ることは当たり前にやってきました。これは得意分野でした。でも、サッカーを離れるとできなくなっていたことに気づきましたね。竹さんから怒られたことで、僕がこれまでサッカーで培ってきた対話の技術を仕事でも活かしていいのだと知ることができ、ビジネスの面でも自分の強みを認識できました。竹さんに感謝です。

対話という自分の強みを活かせた場面はありますか?

例えば、キャリア事業部で学生と就職活動など進路について面談していたときですね。学生に新たな気づきを得てもらうことや、行動に変化を起こせたなと思う瞬間はありました。就職活動という観点では、卓間(昭憲)や原ちゃん(原)は、前職で人事などを経験していて、僕よりも圧倒的に知識があります。本当にすごいです。でも、学生の人生をより豊かにするというレイヤーで考えれば、僕にしかできない対話を通じて、学生にとって有意義な時間にできたと思っています。自分の強みを活かして、卓間や原ちゃんとは違うやり方を見出すことができましたね。

どんな想いで面談をしていましたか?

面談する方との“斬り合い“だと思っていました。これは面談に限らず、対話は”斬り合い“だと思っています。真剣で斬り合っているのと同じです。この言い方をすると、少し怖い印象を持たれるかもしれませんが、僕は怖くはありません。(笑)

“斬り合い”は、僕が面談を通じて感じたことを、相手にありのままぶつけるような感覚です。“斬り合い“とか言っていますが、もちろん謙虚でいることが大切です。僕のありのままを伝えるという謙虚さを持ち合わせることができれば、相手も一緒にありのままで斬り合ってくれます。

少し話は脱線しますが、“斬り合い”と表現する対話は、これまでもずっと得意でしたか?

もともと、大人と話すのが得意な小学生でした。兄貴が10歳年上で、兄貴の友達と一緒にいることが多かったです。だから、自分よりも経験値のある人と話しているので、対話が得意になっていきました。それと転校することが多かったことも影響しています。転校先では、自分の人となりを話さないと友達ができないので、対話が必要な環境にいることが多かったです。何をするにしろ、対話が必要とされる状況が他人以上にあったことが結果的に、強みになったと思っています。

話を戻して、1年間を通じてどんな仕事していましたか?

最初は、研修期間でビジネスマンとしての基礎を学びました。そこからは学生と面談をすることもあれば、真夏にスーツを着てクラブのパートナー営業をすることもあれば、企業の研修に講師として登壇することもあれば、という感じです。

様々な仕事していて、僕なりにビジネスマンをしているなと感じていたことは、キャリア事業部で新規学生の開拓をしていたときですね。簡単に言えば、上司に卓間がいてKPIを渡され、それを達成するために考えながら行動していく過程でした。実際に仕事をしていくと、KPIを達成できると思ったので、卓間に「余裕だわ」と言って、元の数字から2倍くらいの数字を設定しました。そんなのも懐かしいですね。(笑)

全国地域サッカーチャンピオンズリーグ決勝ラウンド 第3戦 vs FC徳島

そろそろ終わりになりますが、この1年間でビジネスとサッカーの両立をしたからこそ感じたことはありますか?

1つあげるなら、JFL昇格戦の出場を懸けて戦った、全国地域サッカーチャンピオンズリーグの決勝ラウンドのスタンドですね。あのスタンドを見た時に、僕たちがサッカーだけをしていて創り上げたスタンドではないと思いました。事業で関わった方々が応援して下さったりとか、キャリア事業部で関わった卒業生が手拍子をしていたりとか、一生忘れられないスタンドでした。ビジネスとサッカーの両立をしないと、クリアソンを知ることがなかった方々が沢山いたと思います。

サッカー以外のところでクリアソンを知って、サッカークラブCriacao Shinjukuの試合を見に来るって、他のサッカークラブでは珍しいと思うので、なかなか素敵なことだと感じました。

1年間を振り返って何を思いますか?

う~ん、まぁ、自分がどうだったかは、周囲の方に委ねます。でも、この1年間の仕事を通じて、自分の強みを再認識することができました。ここで感じたことが全てだとは思いませんが、1年間で触れた仕事の経験から、対話が自分の強みだと認識できました。ただ、それを言うと、根が明るい感じになりますね。(笑)決して、ワイワイする明るさがあるわけではありませんので、実際に対話して「小林祐三、全然明るくないじゃん」みたいな反応はナシでお願いします(笑)

最後に一言お願いします!

この1年で、改めてサッカーが手段であることを知れました。これからは同じサッカー界にいながら、お互いのやり方でお互いの世界観を体現ができたらいいと思います。多くの人がサッカーを通じて幸せになるために、逆に不幸になることを避けるためにも地道に歩んでいきましょう。これからも宜しくお願いします!

最後まで、お付き合いいただきありがとうございました。今後とも、小林祐三と株式会社Criacaoを宜しくお願いいたします。