「覚悟を決めて、組織に向き合う方法」京都大学体育会学生向けセミナー

3月26日(金)、京都大学体育会学生向けに約2時間のセミナーをオンラインにて実施しました。講師は、Criacao Shinjuku監督の成山一郎、ファシリテーターはキャリア事業部の浦上が務めました。「覚悟の決め方」「弱い自分と戦う」「弱い自分と戦う人を育てる」などをテーマに学生との対話を挟みながら進めました。各部の幹部や次期幹部学生を含む9名が参加しました。その一部をお伝えします。


覚悟がある学生とない学生の違いや、実際に覚悟を決めるときに大切なことについて、成山の経験を踏まえてお話しました。目標に対する不安というテーマでは、ビジネス書の名著「ビジョナリー・カンパニー2」(ジェームズ・C・コリンズ著)の一節を引用しながら、お話をしました。

以下引用。

「革命や、劇的な改革や、痛みを伴う大リストラに取り組む指導者は、ほぼ例外なく偉大な企業への飛躍を達成できない。偉大な企業への飛躍は、結果を見ればどれほど劇的なものであっても、一挙に達成されることはない。 たった一つの決定的な行動もなければ、壮大な計画もなければ、起死回生の技術革新もなければ、一回限りの幸運もなければ、奇跡の瞬間もない。逆に、巨大で重い弾み車を一つの方向に回し続けるのに似ている。ひたすら回し続けていると、少しずつ勢いがついていき、やがて考えられないほど回転が速くなる」

これを踏まえて、関西学院大学サッカー部の監督を10年間務めたことがある成山は、自身の経験をにじませながら、学生たちに言いました。
『途中で迷った時には何かを変えたくなる。もっといい計画があるんじゃないか、一発逆転の方法があるんじゃないかと思いたくなるけど、この本が示しているように、一度決めたことを愚直に愚直に、成果が出るまで粘り強くやっていく。成果が出ない時に途中で諦めてしまったり、違う方向にしちゃう人がいっぱいいると思うが、ここが勝負の分かれ道だと思う。

例えると、自転車に乗る感覚に近くて、組織が始まる時を自転車が止まっている状態とする。自転車をこぐ時って最初は重たいじゃないですか。ひとこぎめは重くてつらいんだけれど、ふたこぎめはちょっと軽くなっている。さんこぎ目、よんこぎ目とスピードに乗ると、どんどん勢いがついてそのままスピードに乗っていくことを想像すると、本当に辛い時って、ひとこぎ目、ふたこぎ目の時だと思う。だからこそ、「今やめないで」と思うし、自分やチームが知恵を使って決めた目標であれば、徹底的にやり続けることだと思う。
世界中の何事も最初にやった人って、みんなと同じで不安だったし、怖かったと思うんだけど、ガッツを持ってやらないといけない。そこの覚悟の必要性は感じる』と語りました。

自分の頭で考えて自分の言葉にする

学生たちにアンケートで事前に集めた質問や悩みに答えながら進めました。

「オフシーズンやコロナ禍における自粛期間など、チーム活動がなく主体的に動かなければいけない時に軸が持てない」という学生の課題に対して、成山がおすすめのフレームワークを紹介しました。

上図の右下「自分の過去」から順番に100点満点で点数をつけます。そして、点数に対しては、なぜその点数を付けたかを考え、足りないところも書いていきます。
次に「他人の過去」については、他者視点も考慮して、これまでの自分に点数を付けます。その次に「他人の未来」では、チームのメンバーが自分にどんなことを期待しているかを考えます。最後の「自分の未来」では、今後の自分の未来に期待していることを考えます。

このワークについて学生からは「他人と自分の評価を分けて考えることで、良かった点や改善点が明確に理解できた。また、過去の分析をした後に未来を見られたことで、具体的な目標達成への道のりが見えた」と感想がありました。

成山は「自分の頭で考えて自分の言葉にすると、責任が持てる。自分で言ったんだから自分でやろうという継続力に繋がる。あとは、結局、答えは自分の中にあって、話しながら整理ができるから、誰かと目標とか想いを熱く話すというのも、とても大切。誰か壁打ちの相手を見つけて話すことや困っている人の想いを引き出せればいい」と伝えました。

「後輩やチームメンバーを指導する、巻き込む方法」というテーマでは、成山は、『人に押し付けられた目標ってやっぱ嫌だと思うんですよね(笑)。だからこそ、チームの目標が自分の目標なのかということはちゃんと確認する必要がある。キャプテン、副キャプテンだったら、メンバーに「この目標どう思う?」といった質問を投げかけて、自分で考えさせて、自分で声を出させること、引き出すことが大切』と伝えました。

質疑応答の時間では、
「チームの一員としての自覚が足りていないと気づいた」という学生の感想に対し、「自分はどう在りたいか」「在りたい姿と現状のギャップを埋めるための打ち手はありますか」「在りたい姿を実現すると自分にとって、どんな良いことがありますか」と成山が深掘りをする場面もありました。

最後に、ファシリテーターの浦上から
「今日のように、部員同士でも、質問をし合ったり、話をしてみてほしい。いろいろなやり方はあるけど、みんなが学びを得て、成長すれば部全体が良くなると思う。なので、良い話だったで終わらず、どんどんチャレンジ、実践してほしい」とお伝えしました。

成山からは
「久しぶりに大学の体育会のことを思い出しながら話をしていて、18歳から20歳前後の若い人たちが人として鍛えていくには、体育会って大事だなと心から思うし、自分の子どもにも勧めたいくらい、価値があるものだと自分は信じています。なので、どうか皆さんも自分がやっているスポーツだとか、体育会の活動を信じて、全力でぶつかって、できたかできなかったかではなく、やろうとしているかが大事だと思うので、若さ爆発して目の前のことにぶつかって下さい」
とメッセージを贈り、セミナーは終了しました。


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