Criacao Shinjuku のジュニアユース設立に向けて、社会人トップチームCriacaoの監督を務め、ジュニアユースCriacaoの総監督を務める成山一郎と、ゲストとして順天堂大学のスポーツ健康科学研究科教授であり、スポーツ健康科学博士・スポーツ健康科学部 副学部長を務められている吉村雅文氏、の二人の対談を行いました。引き続き、今回は第2弾「スポーツの教育における可能性」の中の「5)サッカーの楽しさを教えるには?、6)スポーツの価値・指導者としての考え方、7)競技ごとによって指導の仕方は変わる?」の3つについての対談をご紹介いたします!
(ファシリテーター:株式会社Criacao代表取締役・丸山)
1.ジュニアユース世代の可能性
・)ジュニアユース(中学生)世代におけるスポーツ教育について
2.スポーツの教育における可能性
1)大学サッカー部を通じて感じたこと
2)選抜チームと大学部活の違い
3)「大学の価値」とは?高校・中学との違い
4)学生を育てる際のアプローチ方法
5)サッカーの楽しさを教えるには? ←ココ!
6)スポーツの価値・指導者としての考え方 ←ココ!
7)競技ごとによって指導の仕方は変わる? ←ココ!
8)2人にとってのサッカーの面白さは?
2.スポーツの教育における可能性
5)サッカーの楽しさを教えるには?
丸山:僕が思うのは、サッカーをそもそもサッカーとして教えられていない子がすごく多いんじゃないかなと。僕が話を聞いていて大学時代だったらきっと理解できなかったと思います。今なら理解できるし、そんな部活に入りたいなと思うのですが、指導者の責任と言ったらおこがましいかもしれませんけど、サッカーをして全国大会に出ている自分が好きという子も本当のサッカーの楽しさを教えてもらっていたらサッカーをもっと好きになったかもしれないという気がします。そのあたり先生はどう考えていらっしゃいますか?
吉村:だから僕は指導者が大事になるのではないかと思っています。指導者がいろんな教え方をしてほしいし、狭くならないで、もっと幅広くいろんなことをいろんな方法で教えてほしいと願っています。勝つための方法論だけではなくて、サッカーは人生の縮図といっても過言ではないわけじゃないですか。いろんな角度から、いろんな側面から、しかも選手と一緒に構築するような姿勢で取り組む指導者が増えて欲しいとお願いしています。僕がやっていかなければならないことがもしあるなら、そんな指導者養成かなと自分で勝手に思っています。最近、様々なところから講演を依頼されるようになりましたが、そういう指導者養成の話を少しでもできたらなと思っています。
丸山:先生が部員を50人から60人にするというのは、1人の指導者としてサッカーを教えられる人数がそこだからですか?その中でのセレクションはサッカーだけで見ているのではなくて、先生が大事にしている尺度に近い学生で責任をもってみているということなのですか?
吉村:んー?単純には適切な部員数を表現できませんが、安全面、全ての選手の成長、選手同志のコミュニケーション等々、それと組織力の向上を考えると、経験値からそのくらいかなと思っています。トレーニング方法はだれでも学べるわけですよ。このバルセロナの練習と同じ練習をやれって言われたら、誰だって映像を見ればできる訳ですよね。でも、その練習でバルセロナの選手と同様に上手くなるかどうかは分からない。問題は、それを教えている指導者の姿勢を感じ取れない選手に教えても成長や向上は難しいじゃないですか?良いテクニック、良いトレーニング方法がどれなのかを選手に教える、ということが重要では無くて、実際にできるようになることや、実際に判断できるようになることが重要なんですよね。
そうするとやっぱり指導者の指導する姿勢や表情、気持ちなどが選手に伝わることが選手の成長に繋がると思うんですよ。その伝えられる最大は、50〜60人じゃないかな?良いトレーニング方法を指導者がどんな姿勢で教えているかが選手に伝わらないと、絶対に選手は伸びないのではないでしょうか?成山監督、どうですかね?
成山:そうだと思います。
吉村:僕はいつもそこが重要なんですよ。僕もたまには、変わったトレーニングしてみたいし、みんなが知らないようなトレーニングをして選手を驚かせたい。でもそれがイコール、選手を伸ばせる訳ではないですよね!このトレーニングのこの部分がいかに大事で、これができるようになったらこんな効果があって、こんなにサッカーが面白くなり、チームが強くなる可能性があるんじゃないか!という教えている人の姿勢がどれだけ伝わるかが選手を成長させるためには最も重要なんですよね!それを感じられる選手でないと、いくら指導者が朝から晩まで頑張って教えても伝わらないんじゃないかな?このあたりが感じられる選手達というのはサッカーが好きな子じゃないかなと思っていました。
ただ試合に出場することが重要で、勝ち負けだけが全てだと思っている学生で、僕の姿勢や表情、息づかいに全く興味の無い選手に僕が「うまくなろうぜ!随分良くなったぞ!きっと試合中のこういうところで使えるぞ。こういう風にプレーできたらもっとサッカーが面白くなるぞ」と一生懸命な姿勢をもって伝えているのに、ただ試合に出場することが重要で、勝ち負けだけが全てだと思っている学生にはなかなか伝わらないと思うんですよ。だから「サッカー本当に好き?本当に好きなら、じゃあパンツ脱いでやれる?全てをさらけ出してでもできるのか?」ってよく聞いていましたね。それが僕の価値観ですよね。
6)スポーツの価値・指導者としての考え方
丸山:学生には進学する前に、そういう先生の考え方とかを知って大学に入ってほしいなと思うんですよね。成さんや先生の考え方も聞けば分かるし、そういうのを聞いて入る人も、入らない人もいるじゃないですか。そういうのもすごく大事で、「こんなはずじゃなかった」っていう人が出てしまうことが勿体無い。高校生が大学を選ぶときに、少なくとも大学サッカー部の理念や方針、監督の考え方などの情報があって、「君らこれ見てきたんだろ」と指導者側も言えるようなものを作っていかないと、逆に指導者もやりたいことが実現できないですよね。
成山:それは大学サッカー部側の責任も大きくありますよね。
吉村:勿論大学側は、莫大な費用をかけて運動部をサポートしているので、当然成果を求めてくる。当然の話です。そこが難しいところですね。社会のスポーツの捉え方が勝利至上主義とは決して言いませんが、スポーツの価値や意味の捉え方の幅が広がってないような気がしています。勿論スポーツですから勝ちにこだわることは非常に重要だと思いますし、負けていいなんて誰も思っていないし、それを望んでいる人は誰もいないと思います。でも、スポーツ価値はそこだけでは決して無い。もうちょっとスポーツの価値や意味を掘り下げて考えられるような人が増えてきたらいいなと思いますし、そこをうまく発信していけるような人が出てきたら良いなと思うんですけどね。
でもずいぶん変わりつつあるなというのも感じてはいます。指導者講習会みたいなものをたくさんやれるようになって、昔は練習方法を聞きに来る人が多く、「どんな練習がいいんですか?」「こんな練習でも良いんじゃないですか?」と、根本的にわかっていなかった人がすごく多かった。しかし最近は、指導者の姿勢が子供たちの成長や向上に大きく関わるんですよというのがだいぶ通じるようになりました。だから単にオーガナイズだけじゃないよっていうのは随分伝わるようになってきました。
トレーニングにも安物と高級品といった考え方が以前は随分あったように思います。例えば、「対面パス」というのが安物。グリットの中で2人組組ませて3組くらいで入れてパスワークさせるというのが高級なトレーニング、みたいな感覚のようなものが以前の指導者の中に結構あったような気がします。「先生は、海外でどんなトレーニングを学んできたんですか?」「実は僕はぼーっとしか練習見ていなかったので・・・あまり覚えていないんです。」「じゃあ、先生は、何しに海外に行っていたんですか!?」とよく聞かれて、「雰囲気ですよ。雰囲気を感じに行ってきました」というと結構笑われました。「練習方法なんてという言い方は少々乱暴だと思いますが、練習方法は考えたらよいだけだし、指導者の姿勢や選手の雰囲気が見たかったんです」といっても全然伝わらなかった、でも少しずつ分かってくれる人が増えてきた気がしますよね。
丸山:先生のおっしゃる考え方が分かる方が増えてきているのは、何でなんですかね?オシムさんの影響とか、ラグビー界のエディさんとかスポーツを哲学的に捉えているという指導者が出てきたからですかね?
吉村:あるんじゃないかな。それはとっても良い傾向だと思います
7)競技ごとによって指導の仕方は変わる?
丸山:話は少し変わるのですが、サッカーの指導者と他のスポーツの指導者の違いについて。もし吉村先生や成さんが野球の指導者だったら、もっと違うことを伝えているんですかね?サッカーの指導者だからこう教えているということはあったりしますか?
成山:少なくとも自分というものがあるから、スポーツの種類が違っても自分が大事にしていることはこういうことだということは、表面的にボールが小さい、大きいとか、表面的な技術のところは変わるかもしれないけど、先生がいうようにそこに取り組む姿勢や、何を大事にするのか、そういうところは変わらないと思いますけどね。
丸山:お二人ともサッカーという競技特性である、メンバー全員の個性を活かす、関係性を大事にする、というような部分が、すごく強いと感じます。そういった意味での他のスポーツではなく、サッカーと自分という人間の考え方がしっくりくる、といったところがあったのでしょうか?
吉村:僕は野球に少しあこがれた時期があったなあ!でも、継続してやろうとは思わなかったですね。バレーボールやバスケットもすこしやったことはあるし、そこそこ自分でいうのもなんですが、中学校のときはうまくて(笑)サッカーを辞めるという選択肢は全くなかったですね。やっぱりサッカーがしっくり来ていたんでしょうね。面白かったんですね。
丸山:サッカーの面白さは2人の中にはどういう風に見えているんですか?
8)2人にとってのサッカーの面白さは?
(近日公開いたします。お楽しみに!)
1.ジュニアユース世代の可能性
・)ジュニアユース(中学生)世代におけるスポーツ教育について
2.スポーツの教育における可能性
1)大学サッカー部を通じて感じたこと
2)選抜チームと大学部活の違い
3)「大学の価値」とは?高校・中学との違い
4)学生を育てる際のアプローチ方法
5)サッカーの楽しさを教えるには?
6)スポーツの価値・指導者としての考え方
7)競技ごとによって指導の仕方は変わる?
8)2人にとってのサッカーの面白さは?