部活・サークルを、変化に対応し続ける組織にするには

1月17日(日)オンラインにて体育会系部活・サークルの幹部メンバーを対象に、「Criacao Leaders’ College~変化の時代に勝ち残る組織とは?」と題したセミナーを約2時間半に渡り、開催しました。今回は、富士フイルム採用統括マネージャーの秋山昇平氏を講師にお呼びし、ファシリテーターは弊社CSOの竹田が務めました。部活動やサークル活動の組織運営に参考になりそうな、その一部を紹介します。


―変わらずに大切にしているものは何ですか?

会社として変化していく為に大切にしているのは、変わることの基盤を大事にしています。。富士フイルムとして変わる為の基盤として大切にしているものの一つとして、会社としての組織としても、社員一人ひとりが「オープン、フェア、クリア」でありたいということをビジョンとして掲げています。

オープンは、開けっ広げというよりも、正しいことを正しい、間違っていることは間違っていると言えることです。フェアは、正しいことを言っている人の意見が尊重されること。派閥とか、学閥、立場、役割で物事が決まっていくんじゃなくて、正しいことをいう人のところに、人、仕事が集まっていく風土を大事にしています。クリアは、やるべきことをやることです。なんでも売り上げや利益が上がればいい、ではなくて、本当にやるべきことなのか、富士フイルムとして大切なのかを意識しています。

あとは、社員同士での対話を大事にしています。年次、肩書き、役職にこだわらずに、当たり前のように「対話」します。フラットに意見を言い合う風土を大切にしています。新入社員に対しては、「あなたはどう思うか?」と問うことを大切にしています。自分の頭で、自分はどう思うかを考える訓練になります。なぜ問われているのか、何を求められているか。「なぜ」「何」を考えることを大切にしています。

―なぜ、それを大切にするのですか?

会社としても、何が正解か、正解が分からない課題にチャレンジしているからです。自分たちが何を目指すか、それに対して何が問題かを考える中で、方向性が定まらないこともありますが、自分たちの大事にしたいものがぶれないように意識しています。

部活でも、ありたい姿や掲げているものがあったとしても、自分たちの代でどう体現するかを咀嚼する必要がありますよね。企業で言うと、経営者が方針を立てたとしても、事業部長や統括マネージャー、課長、メンバー一人ひとりが、方針を咀嚼して、自分なりに腹落ちして行動に落とせるかが大切です。部活は1年間でガラッと人が変わるから、理念を変えるのか、自分たちの代も継続していくのかを考えるのが大切でしょう。

富士フイルムは(デジタル化という時代の変化で、フイルムがだんだん使われなくなり)2006年に、1934年から自分達が大切にしてきた企業理念そのものを変えました。時代が変わる中で、自分たちが目指す姿を再設定することや、これまでの理念が逆に自分達の足枷になると感じたら理念を変えていく勇気を持つことも大切だと思います。

―メンバーとの関わり方、メンバーのマネジメントの方法で大切なことは何ですか?

メンバー一人ひとりを知ろうと努力することが大切です。性格、価値観や、人柄、個性を理解する。先入観などを持たずに、自分が知ろうとすることです。人間なので、好みや好き嫌いがあると思いますが、一人ひとりにフェアに接することを大事にしています。育ってほしい、成長してほしいと思って、愛情を持って、ほめる、叱ることをできるようになりたいと思っています。

―知ることが大切な理由や何かそう考えるきっかけがあったのですか?

メンバーは会社にいる時は仕事をしていますし、上司は、仕事ぶりを通じてメンバーを理解します。部下には部下の人生、プライベート、価値観があります。それが相まって仕事に繋がっているので、そこを理解しないまま、ああだ、こうだと言っても、お互いのベースとなる信頼関係ができませんよね。

私自身、最初の上司とはうまく関係が作れたけど、入社して半年くらいで出会った上司には自己開示をうまくできなくて、お互いに理解し合えず、それを上司のせいと他責にしてしまう時期がありました。上司からしたらマネジメントしづらい新入社員だったと思いますし、当時の私にとっては、それまで仕事が面白かったのに上司との関係一つで、仕事が面白くなくなってしまいました。そして、上司への信頼関係を築けなくなりました。そこから、どんな人に対しても先入観や固定観念を抱かずに、その人のことを理解しようとする、信じようとすることを大切にしています。

セミナーでは、秋山氏のお話を伺った後、グループに分かれて、ディスカッションをしました。「コロナ禍でコミュニケーションが減少していること」「下級生の育成」等、自分たちの部活での課題を話し、富士フイルムの仕事の進め方の原理原則であるSTPD(See・Think・Plan・Do)サイクルにおけるSを深掘る時間を共有しました。秋山さんからは、Sを深めるうえで大切ないくつかの問いを頂き、それぞれの部活の「今」に真剣に向き合う時間となりました。


クリアソンは、体育会系部活・サークルの幹部メンバーに、どのように組織をまとめていくのかを学べる機会を提供しています。また、富士フイルム株式会社とは、次世代リーダーの育成を見据えたセミナーの設計、実施を行っています。