学生とスタジアムで再会を Chapter 7 峰尾隼人

2013年より、株式会社Criacaoは新宿に拠点を構え、事業を進めてきました。ここ数年は社員やパートナー、インターンなど共に歩みを進める仲間が急増するとともにクラブ事業部、キャリア事業部、アスリート事業部という3つの柱で仕事の幅も広がり、それぞれの姿が見えにくくなってきました。Criacaoの取り組みを支えて頂いている方々に、もっとCriacaoのことを知ってもらいたい。そんな時、まだ伝えていない姿があることに気づきました。それは、それぞれの人間がどのように歩み、どんな思いを抱きながら、何を実現しようとしているのかです。豊かさを体現する個々の姿を、この“Criacao Index”でお届け致します。


Criacao Index ~豊かさの体現者たち~

Chapter 7

峰尾隼人

峰尾はキャリア事業部では、キャリアアドバイザーとして、学生と年300回以上の面談を行い、学生自身が納得のいく就職活動をサポートしています。一方、クラブ事業部では、試合当日の運営を統括しながら、YouTube Liveの企画と出演まで行っています。将来的にその二つの仕事が繋がる瞬間を、心待ちにしています。

――現在の担当を教えてください

今の仕事の割合は、キャリア事業が6.5、クラブ事業が3、アスリート事業が0.5くらいです。

キャリア事業では、2021年卒の学生250人以上と面談をしていて、2-3回面談をしている人もいるので、1年間でのべ300回以上面談しています。学生と面談しながら「この学生の強みは何だろう」とか「この学生の人生と向き合った時に、どういうキャリアを歩んでいったら良いのだろう」と一緒に考えて、最後はその学生が自分の意志と覚悟を持って決断することが大事だと思っています。

キャリア事業での最初の仕事はCA(キャリアアドバイザー)に就きました。当時は人材紹介のビジネスはまだしておらず他の人材紹介企業と協業していて、学生にそれらのイベントを紹介していました。1年半ほど前からは、採用支援をさせて頂ける企業がだんだん増えてきたので、いくつか企業の担当を持ちながら、CAの仕事もしています。この分野のプロフェッショナルである中村(キャリア事業部長)が入ってきたところで、それぞれが個々のやり方で好きなようにしていたところから、ノウハウや知識もインプットができて、いろいろと仕組み化されて整った感じです。

キャリア事業部には、私自身が希望をして入りました。千葉の八千代高校という強豪校でサッカーをしていたのですが、重度の貧血で体力的に全然ついていけなくて、試合に出て活躍して当たり前みたいなヒエラルキーからどん底に落とされた時に、「サッカーがなくなった時に何ができるんだろう」とか「思い通りプレーできない中で、どうやってチームに貢献したらいいんだろう」と考えるようになりました。

また、大学時代のサークルでの経験が大きくて、「サッカーが上手いから偉い」とかはないですし、サッカーは上手くないけど、自分の特徴を理解して雰囲気を盛り上げてみんなを巻き込める存在がチームにとってすごく大事で、そんな形で各自が良さや特徴を生かしながら、目標に向かって走っていくチームがいいなと思いました。

仕事でも、何かしらの理由で自分の良さや特徴を発揮できていないとか、組織のルールが合わず自分らしく働けていない人もいるのではと思うようになり、就活で自分のキャリアとちゃんと向き合ってもらって納得いく決断をしてほしい。そこで自分が一緒に考えて、社会人になってもイキイキと働く人が少しでも増えたら嬉しいという想いがあってキャリア事業部を希望しました。

クラブ事業部は当初、競技企画・運営室というのがなくて、僕や卓間(昭)は、選手ではなくて土日も動けるので、試合会場に行って横断幕をつけたり、のぼりを立てたり、一部Twitterの更新をしていたのがスタートでした。

去年、関東リーグ1部に昇格してから、J3昇格基準である年間入場者数3万人を達成するために応援してくれる仲間を増やしていかなければならない時に、私自身が、「現場で、みんなで勝って喜ぶ」とか「感動を味わう」というのが入社した動機の一つだったので、丸山と相談した上で、現場運営の統括のような立ち位置で仕事をするようになりました。

――思い出深い仕事の場面を教えて下さい

2020年10月4日にあった、関東リーグ最終節の「WE LOVE SHINJUKU! MATCH with SHINJUKU POWERS」というイベントは印象的でした。それまでは、選手の家族とか近しい人が応援に来ることが多かったのですが、この時は全然違って、地域の方やパートナー(企業)の方など応援してくれている人たちが集まって、そういう人たちと繋がりながら試合ができたのは、「この瞬間のために、今、目の前の仕事をしているんだな」という感情を味わえました。

体験価値を高めるのも大切ですけど、競技企画・運営室として大前提にしていることは、安心安全な試合運営です。この時は、新宿高校サッカー部の方々やクリアソン新宿のメンバーズクラブの方もボランティアで来てくれて、外部の方と一緒に運営をするのは初めてだったので、当日、みんなが迷うことなく動けるためにはどうすればいいかと考えて、きちんと細かくマニュアルに落とし込むのが大変でした。大きなトラブルなく運営できましたし、新宿高校の方から「次も、是非サポートしたいです」とか、「いろいろな人に支えられて、試合ができているということを学べました」との声ももらえたので、やってよかったと思いました。

――大変だった仕事や自分で新しく開拓した仕事はどんなことですか?

YouTube Liveは新しい取り組みでした。最初は、別の仕組みで音声だけで試合を解説していて、50人集まるか集まらないかみたいなのが2020年1月から3月くらいまで続き、リーグ戦が始まってからもコロナで無観客試合が続いたことから、せっかくであれば映像があった方がいいですし、チャットの双方向性も考えて、YouTube Liveが始まりました。

当初は、ピンチヒッターのような感じでやってみた解説が周りの人から「いいんじゃない」と言われて担当になりました。その後、全部を任されて、MCのような立ち位置でやるようになりました。パートナー(企業)の方とも組みながら、競技企画・運営室で無観客の中でもいかにクリアソン新宿の魅力を伝えるかを考えて、試合の中身を解説するよりも、選手の背景やストーリーをコンテンツの中に入れ込んで、毎試合地道に台本をつくったりしていました。

◆喜怒哀楽がたくさんあった方が楽しい

――お客様から教わった大事なことは何ですか?

改めて、学生さんから学ぶことは多いです。「人をどうやって動かすか」とか、「相手にどうわかりやすく伝えるか」とか、「学生自身がどんなことを思っているのか」を想像してくみ取りながら自分の言動を考えたり、逆に言うと何も知らない学生さんだからこそ、そこをよく考えて向き合わないと全然伝わらない。「なんか違うな」と思われたら、すぐに連絡が来なくなりますし、いいなと思ってくれたら、信頼してくれます。

学生がちょっと人に頼りたいなと思って来たのに、いきなり「どんな目的で?」「なんで?」と、こちらからプッシュしまくってしまい、離れてしまったことがありました。ロジックだけでぶつかってもダメだな、信頼関係なしにこちらの意見だけ押し付けても離れるよな、と反省させられました。入社して十数人目の面談で起こったので、衝撃的でした。

いかに人や物事を動かすかという根本、人の本質を学ばせて頂いていると思います。クラブで人をどう動かすのかにも活かせますし、マネジメントでも、結局「一人の学生をどう動かすか」が全ての根本になるので。

――仕事でのマイルールは?

「まずはやってみる」と「仕事は自分で取りに行く」です。
元々は考えてから動きたい性格なのですが、クリアソンという会社は止まっていることがほぼ許されないので、そのスピード感についていくために、考えるよりまずやってみることを、自分の価値観と並行しながら意識的にやるようにしています。

自分で取りに行った仕事は、入って1か月も経たないくらいに学生の前で一人でセミナーをやりましたし、財務の借り入れの仕事も前職でやっていて興味があったので、「やらせて下さい」と言いました。YouTube Liveへの出演も、新しい発見や気付きがあるかもしれないなということでやってみました。会ったことのない新宿の方から声を掛けてもらったり、選手の家族から「いつもYouTube Live見てるよ。ありがとう」と言ってもらえたり、価値を与えられているなと感じられました。

――Criacao入社前にしていた仕事は?

中小規模の不動産ディベロッパーに勤めていました。資金調達などを行う財務と、兼任で新卒採用に携わっていた2年半でした。人生のテーマとして、喜怒哀楽がたくさんあった方が楽しいと思っていて、人や組織がもっと可能性を引き出せる世の中になればいいなと思って、就活をしていました。大きな会社に入るより、若いうちから自分で裁量を持ち、決断しながら進められる経験を積めた方がいいなというのと、ディベロッパーの仕事も採用の仕事も兼任できると入社前から聞いていたので、経験できるならどちらも二十代のうちにやった方がいいなということで、採用チームが立ち上がるタイミングで「やりたいです」と言って入らせてもらいました。

そこの採用は少し特殊で、採用担当が一緒に働きたいと思った学生に徹底して寄り添い「この子と一緒に働くためには、どうすればいいだろう」と、学生と向き合いながら仲間になって考える感じでした。僕は「こういう学生なので、採用して下さい」というのを人事部長、役員、社長にプレゼンしまくるみたいなことをしていました。今の仕事とはちょっと似ていますね。ただ、今は学生と向き合いつつ、様々な企業の魅力をアピールするという立場を取る必要があるので、そこは違いますね。

スポーツは、ありのままの自分で人と繋がれる

――Criacaoを知ったきっかけと入社の経緯を教えてください

(社長である)丸山が大学のサッカーサークルの先輩で代々繋がりがあり、試合を見に来てくれたり、就活時代にお世話になったというのが最初です。就職した後もクリアソンビジネスカレッジという若手社員向けの勉強会にかなり頻繁に参加していました。

自分の感情が一番揺れ動いた経験はスポーツにあったので、そういう仕事のチャンスがあればやりたいとずっと思っていた中、声を掛けてもらいました。クリアソンの理念である「スポーツの価値を通じて、真の豊かさを創造し続ける存在でありたい。」に共感しかつ自分も本当にそういう体験をしてきたので、サッカークラブを活かしながら、世の中の人に価値を提供できたら本当に素敵だなと思いましたし、ほぼ知り合いだった社員全員と入社前に改めてもう一度話をさせてもらったんですが、「この人たちと働きたいな」と思って決めました。

世界一を目指すのは本当に途方もない目標だとは思うんですけど、光は見えるんです。クリアソン新宿だったら、みんなが繋がりあって、応援して、感動し合うみたいな瞬間をつくれるイメージを持てました。やりたいし、やらなきゃと思えたのが大きいです。

――あなたの考えるスポーツの価値を教えて下さい

人生の豊かさや質を高めてくれるものだなと思っています。あとは、感情むき出しで自分のありのままを表現できるところにもあると思います。振り返ると、人との繋がりを感じた瞬間や、嬉しかった経験や悔しかった経験など記憶に残っているものは、結構スポーツでつくられていますね。所謂ビジネス的な繋がりではなくて、ありのままの自分で人と繋がれるみたいなのは、スポーツを通じて生み出せると思っているので、そこに価値があるなと思っています。

――Criacaoを通じてどんな豊かさを創造したいですか

常に自分自身とみんなが、ありのままでいられる状態を創りたいなと思っています。クリアソン新宿を応援する、一緒に目標達成に向かっていく中で、うそ偽りなく自分がこうしたいという思いを表現できる、そんな豊かさを大事にしたいです。

具体的には、僕自身がキャリア事業でやっていることと、競技企画・運営室でやっていることがもっと繋がる瞬間があれば嬉しいなと思います。クラブが所属するカテゴリーが上がったりした時に、相談に乗った学生が試合を見に来てくれて、現場で会って、「あの時入った会社で、いきいき働いています」と言われたり、スタンドで僕が知っている人同士を繋げてビジネスが生まれるとか。仕事が辛い時にも、クリアソン新宿と繋がると「こうありたかったな」という自分に立ち戻れたり、「明日も仕事頑張ろう」と思えるとか、そんな瞬間を作れるといいなと思っています。