Interview by Player EVOL接骨院

 

語り手:株式会社116 代表取締役 加藤賢
聞き手:Criacao Shinjuku 選手 #9 原田 亮
撮影 :(株)Criacao デザイナー・カメラマン 川口創史

掲載日 2021年3月4日

「『この人に施術してもらいたい』と思ってもらえるか」

2017年4月に四谷三丁目で腰痛に特化した治療院を開業し、現在まで経営しています。開業時は1人で始めましたが、現在は美容サロン、プライベートトレーニングジムも展開し、従業員が6人に増えています。接骨院の名前にも由来していますが、「何歳になっても人間の身体は進化する(evolution)」と考え、患者さん自身が持つ身体の特性を生かすことで、痛みを改善し、本来の身体の使い方を発揮させることを目指しています。

私は長くサッカーをやってきましたが、現役時代は怪我が多く、100%の状態でプレーできることが少なかったです。ケアはしっかりしていたのですが、試合中でも身体のどこかの痛みを気にすることが多かった。現役時代から課題を感じていました。現役を引退するタイミングで、治療院を経営する先輩から「柔道整復師になってみたらどうだ」と言われ、目指すことにしました。

学校に通い始めた頃は、基礎の基礎からの勉強で苦痛でしたが、地元福島の治療院でインターンとして働く中で、学んだことと実践との繋がりが見えてきて、面白くなってきました。技術もそうですが、患者さんとの接し方も学びが多く、今の自分の基盤になっています。3年で国家試験を無事合格し、東京の接骨院グループ会社に就職しましたが、そこでも人との関係づくりの大切さを感じました。治療院というのは、治療の技術や知識はもちろんですが「この人に施術してもらいたい」と思ってもらえるかも非常に重要です。人間関係が希薄と言われる東京でも、最後は人で決まることを実感し、地域との結びつきを大切にしています。

多くの接骨院は、患部を直接的に触って改善することが多いのですが、色んな勉強会に参加していくうちに、患部に関連する部位からアプローチする方がいいのではないか、ということを感じています。人間は年を重ねると退化すると思われがちですが、熟成されたらもっと進化してもいいのではないかとも考えています。実際に施術していても、年配の方でも身体が進化していると感じることもあって、もっとそれを広げたいと思い始めました。そこで、自分がやりたいことにまっすぐ進むため、開業しました。

サッカー選手として100%の力を

大学3年生のとき、マル(クリアソン新宿代表 丸山)とサークルの選抜チームで一緒になり、サークル引退後に改めて一緒にクリアソンを作りました。1年間は僕もそこで活動しましたが、自分は九州サッカーリーグに挑戦することになり、チームを離れました。その後、2013年に(株)Criacaoが立ち上がり、マルとケンモ(剣持 #22)と会ったときに、当時、僕はトレーナーして活動していたので「同じスポーツに携わる者として、何か一緒にやれたらいいね」と話していました。2015年、クリアソンが2度目の関東昇格戦に挑戦をする際「連戦で大変になるから力を貸してほしい」と言われ携わったのが、トレーナーとして初めての関わりでした。開業後は、選手が院に来て治療を施すのがメインになっています。

付き合い方が変わったのは、成山監督が来てからですね。サッカー面で非常に強度が上がった一方、コンディショニングや怪我の処置などが追い付かなくなっていました。そこで、2018年、3度目の関東昇格戦では完全帯同し、昇格。翌年の関東リーグ2部にも帯同するようになりました。

現在は、練習日もチームに帯同しています。自分がトレーナーを目指す原点であった「サッカー選手として100%の力を発揮してほしい」という想いもあったので、治療院の稼働量を調整してなるべく現場に足を運ぶようにしています。

選手と地域の人たちが交わるコミュニティに

クリアソン新宿の特徴として、一つの目標にみんなが向き合っていることは、すごい強みだと思います。働きながらサッカーをすることは本当に大変ですが、サボることなく、自分を律し、様々な折り合いをつけられるメンバーが集まっています。また、誰かが困っているときに手を差し伸べられる人間関係が魅力で、本当の仲間だと感じています。様々な事情でチームを離れたとしても、繋がりが切れないことも素晴らしいですね。

実は開業したてのとき、マルやケンモが、すぐに院を訪問してきてくれました。オープンしたてで不安なこともたくさんあったので、彼らが来てくれたことは心強かったです。そうした関係が好きで、自分も関わりを強めている気がします。

課題は、みんなが優しすぎる面だと感じています。選手は賢く、お利口なタイプが多いので、感情的になることを「悪」と捉え、思ったことを抱え込んでしまっていないか心配になります。本気だからこそ言い合い、チームをより強くすることを目指してほしいですね。

掲げている、日本を飛び越えての「世界一」という目標には、本気で一緒に挑みたいなと思います。加えて、拠点とする新宿において、ともに健康な社会を作っていきたいと思っています。都会でありながら、人々が健康に元気よく生きている街ができたら、とても素敵ですよね。サッカーや治療を通じて、そんな街にできればと思っています。11月に新設したジムを活用して、選手と地域の方が一緒にトレーニングし、その前後には交流を深め、応援してもらえるような、そんなコミュニティも一緒になって作っていきたいですね。

原田選手に期待することは、左足の豪快な振り抜きからのゴールです。練習のときには出るのに、本番では中々出ない(笑)。あとは、一緒にトレーニングしている、相手を背負ってのボールキープです。開業したての頃から通ってくれていて、治療を通じて怪我をしないこともそうですが、肩書にも関係なく、この年齢からでも進化すること、この院のコンセプトを体現していってほしいです。


インタビュー後記

サークル出身で年齢も30歳を超えた私が、今も選手としての成長を実感できていることは、EVOL接骨院の協力なしには語れません。日々のメンテナンスから身体の使い方まで、私の課題に常に真っすぐ向き合ってくれる存在です。

見習いだったころのエピソードは初めて聞きましたが、治療院ですれ違うお客様に非常に愛されている印象を受けていたので、とても納得しました。

ピッチ外でも、体育会学生向けに水分補給の大切さを伝えるセミナーや、多国籍フットサル交流会「新宿グローバルカップ」でウォーミングアップを行っていただくなど、多方面で連携しています。新宿という街にクリアソン新宿が根付いていく過程で、健康や成長といった豊かさを一緒に届けていくことが、本当に楽しみです。

原田 亮