Interview by Player アポーグループ

語り手:株式会社アポーメンテナンス 代表取締役 古屋勇多さん

聞き手:株式会社Criacao 事業統括部門営業部長/Criacao Shinjuku 選手#9 原田亮
撮影:株式会社Criacao デザイナー・カメラマン 川口創史

掲載日 2020年7月6日

エッセンシャルワーカーとしての誇り

弊社の創業は、私の父(古屋文男氏・現最高顧問)が大学時代に工事現場やビル清掃の請け負いをバイトで始めたことから始まりました。今も会社の中心事業として、ビルメンテナンスや設備管理などのエッセンシャルワーカー業務を行っています。

理念に掲げる「快適な空間」にはこだわっています。私たちの提供する場所を使う人たちが困らず、使いやすいと思ってもらえることを意識しています。夜中にトラブルがあれば、すぐに駆け付ける体制を作っています。御社から女子トイレを設置してほしいと言われた時も、すぐに対応できたかなと思っています。

他には、社員を大切にすることを大切にしています。コロナ禍でテナント収入が厳しくなりましたが、役員の間では「従業員の給与を下げることは、絶対に言うな」と話しています。また、数年前にM&Aをする案件があったときに、もう一社と競争になったんです。そのとき、対象企業の従業員の皆さん一人ひとりと面談をして、いろいろな話に真摯に耳を傾け、質問にも丁寧に答えていきました。その会社は、最終的に従業員の意見を尊重した結果、私たちと一緒になりたいと言ってくれました。グループの一員として、彼らとは、非常にいい関係を保ったまま仕事ができています。

弊社には、ずるい人間はいません。職歴が変わっている人間もいますが、みんな真面目で、嘘をつかない。一緒に仕事をしてもらっていて、それは感じてもらえるんじゃないかなと思います。

自主経営のチームが強くなれば、アスリートの価値も上がる

2017年5月に、当時 株式会社Criacaoに所属していた柴村直弥氏を通じて丸山さん(Criacao Shinjuku 代表/株式会社Criacao代表取締役社長)と出会いました。旧友だった神田義輝さん(現・株式会社Criacao社員)とも、サッカー選手のセカンドキャリアについて話をする機会がありました。アポーグループが(Jリーグの)ヴァンフォーレ甲府のスポンサーだったことから、クリアソンの事業を聞いた時に興味を持ち、ランチをしながら3時間程話し込みました。丸山さんは熱い想いと、事業構想も素晴らしい考えを持っていた。

クリアソンが掲げるように、選手として活躍しながら、社会人としてもしっかりと働けていたら、最強じゃないですか。自主経営ができているチームが強くなったら、アスリートの価値も上がっていくはずです。そうすると、選手がサッカー界にも飛び込みやすくなります。そんなサッカー界を作る可能性を秘めていると思いました。

丸山さん自身がぶれていないことも印象的でした。名門企業である伊藤忠商事に入ったのは、経営者としての力が磨かれるよう、いわば「手段として入社した」と大学時代の話を聞いていましたが、それが独立してからしっかりと形に現れています。理念もぶれず、マネタイズもできて、非常に優秀な経営者だと感じています。

ただ、規模が小さかったこともあり、当時のオフィスは古かった。手狭になったことも聞き「夢を語るなら、うちの管理しているオフィスビルに来い」と言って、2017年10月に今の本社ビル(YKB東ビル)に移ってきました。話をしていて思い出しましたが、弊社がオフィスビルを初めて保有したのがこのYKB東ビルなんですよ。保有ビルが100件近くある中で、このビルにオフィスを構えてもらったのも、何かの縁かもしれません。

パートナーのことについて初めて話したのは、関東サッカーリーグ2部に昇格することが決まった2018年末でした。先ほども話しましたが、過去にヴァンフォーレ甲府のスポンサーだったこともあって、パートナーになることは自然な流れでした。

私のスポンサーシップの考え方は、共存共栄です。だから、単にスポンサードする形は望んでいません。今のように、家賃収入とスポンサー費用をお互いに行き来させることで、互いの事業成長に繋がるあり方を大事にしています。どちらかが GIVE だけの関係は長続きしないため、今の形で、今後も進めて行こうと丸山さんとは話しています。

「人の繋がり」を作り合いたい

「アスリート」や「人」の可能性を、もっともっと 一緒に広げていきたいです。井筒選手( #3)にしても、黄選手(#6)にしても、とても面白い人間です。彼らのような人間が、たくさん出てきてほしいと思っています。今のサッカー界は、人材の使い倒しになってしまっている側面があります。それはあまりにも無責任だと感じます。クリアソン新宿が目指す、選手が社会人として働きながら、自主経営で成り立っているチームは本当に価値が高いはずです。

他にも、お互いにとってプラスになる「人の繋がり」を作り合いたいと思っています。私は、丸山さんが通っている一流塾や、クリアソンが事業を一緒に行っている東京児童協会の菊地元樹さんを紹介しました。また、クリアソンからは北原亘さん(株式会社Criacao 社外パートナー)やフウガドールすみだの須賀雄大社長、スプリントコーチの秋本慎吾さんを紹介してもらいました。お互いの素敵な仲間を広げていくのは、今後も積極的にやっていきたいです。

クリアソン新宿に望むのは、勝っても負けても、とにかく大事なものを見失わないチームであり続けることです。どんなときにでも応援してくれている人がいることを理解し、その人たちに恥ずかしくない態度であってほしい。そして、周りの方々に優しくあってほしいと思っています。

原田選手には、FWとしてとにかく得点を取ってほしいですね。やはりFWは得点を取ってなんぼでしょう。少なくとも、岡本選手(#50)には負けないでほしいです(笑)。


インタビュー後記

古屋社長とは、これまでも数度お話しをする機会があり、人や仁義を大切にする芯の通った人だと感じていましたが、今回のインタビューでその印象がより強くなりました。そして、Jリーグクラブのスポンサーをされる中でも、我々の「人間の質」に強く期待してもらっていることを感じました。自分たちが目指している、ビジネスパーソンとしてもアスリートとしても一流を目指す姿は、間違っていないし、僕らには可能性がある。今後も自分たちらしく駆け抜けていく上では、本当に力強いパートナーだと実感しました。

そして、私自身はプロどころかサークル出身の、なんでもない一般人ですが、そんな等身大の人間がピッチで戦っている姿を、いつも訪れたときに優しく挨拶してくださるアポーグループの社員の方にぜひ観に来てもらいたい。共存共栄を組織間だけでなく個人間でも体現できるよう、頑張っていきたいです。

原田 亮