Interview by Player 株式会社日本マンパワー

語り手:マーケティング部 上級部長 金子浩さん
マーケティング部事業開発課 課長 中村裕さん
聞き手:Criacao Shinjuku 選手 #3 井筒陸也
撮影 :株式会社Criacao デザイナー・カメラマン 川口創史

掲載日 2020年7月6日

ミッション・ビジョンを新しくする

金子さん:
私たちは「『はたらく』に自分らしさを 誰もが夢中になれる社会を」というミッション・ビジョンを掲げています。自分らしさを発揮できる人たちが増え、活躍することで、夢中になれる社会が広がっていく、そのような願いが込められています。

実は、この言葉は最近つくられたものです。日本マンパワーは52年目の会社になります。そこで「これからの50年を、どのように自分たちが存在し、どのように価値を提供していけばよいのか」共有し、言葉にしたいと思い、ボトムアップでプロジェクトを立ち上げ、有志を募りました。ワークショプなどを繰り返す中で、同じ会社の人間でも、多様な事業に関わり、価値観もそれぞれだということに気づきました。ミッション・ビジョンも「一人ひとりの想い、個性を紡いでいけばいいよね」という話になり「自分らしさ」という言葉が出てきました。

中村さん:
「人生100年時代」と言われるようになり、『自分の人生は会社ではなく自分自身がつくるもの』という考え方が広がりつつあります。社員から話を聞く中でも「自分らしくはたらく」は、キーワードだと感じました。これは「自分勝手」という意味ではありません。より良い社会づくり ―より良い社会とは冒頭にあった「夢中になれる社会」のことですが、そのために、たとえ小さくても貢献をする、そこに自分らしさを持つ、それが大事だと思います。

金子さん:
日本マンパワーは、組織開発・人材開発のサービスを提供している会社ですが、もっとも重要なテーマが「キャリア」です。仕事とはJOBであり、マストでやらなければいけないことです。しかし、そこに自分の想い、強み、価値観を重ねられるかどうかは、選ぶことができます。仕事にワクワクできれば、パフォーマンスが上がります。それはチームの成長、ひいては社会の成長にまで繋がっているはずです。「『はたらく』に自分らしさを」ということを、まずはキャリア開発支援を提供している自分たちのあり方として、体現していきたいと思っています。営業トークみたいになっていますね、もう何度も伝えてきたことなので(笑)。

このように、自分たちのミッション・ビジョンをつくっている渦中で、自社のミッションやビジョンを体現するためにビジネスやスポーツに全力で取り組むクリアソンの皆さんの存在感が大きくなっていったことが、クラブパートナーになるきっかけになりました。

中村さん:
このプロジェクトでは、一貫して「対話」を大事にし、ミッション・ビジョン策定のプロセスにおいて役員から新入社員まで、全員にインタビューを行いました。ミッション・ビジョンの周知・浸透のためにクリアソンとの協同のワークショップも検討しています。

 

 

クリアソンとの運命の糸

金子さん:
弊社に、落語ができて・英語が話せるという、ユニークな社員がいます。彼が知り合い伝いに、ブラインドサッカーの国際大会のレセプション呼ばれ、それがきっかけで、ブラインドサッカーを活用した研修があることを知りました。すぐに社内体験会が実施され、そこに、日本ブライドサッカー協会の職員として、剣持さんが来られました。その後、剣持さんに岡本さんを紹介してもらい、アスリート研修(現トップアスリート研修。トップアスリートを講師に様々な研修を行う株式会社Criacaoと日本マンパワーの共同事業)を立ち上げるという話を聞きました。

その直後ですが、2つの地域系金融機関が経営統合するにあたって、二者間の融和をためのプログラムをつくるという案件が入ってきて、岡本さんがその地域を代表するクラブチームに所属されていたので、アスリート研修とこの話が「ぴこーん」と繋がりました(笑)。これは運命だと感じて、絶対に実現させようと思いました。その後、他の地域でも、クラブチームとスポンサー企業をつないで実現する研修のご縁があって、急接近していきました。

中村さん:
私は、本案件にはサポート的に関っていましたが、タイミングや様々要因が重なり実現できた研修でした。クリアソンと日本マンパワーの間には「糸があった」というか、吸い寄せられるような感覚がありました。こうしてパートナーになっているのも、自然にそうなった感じがしています。

金子さん:
しばらくして、今度は「この人たちは、サッカーもやっているらしい」という話になり(笑)。剣持さんから、関東2部リーグに上がるための、関東大会の準決勝の試合に招待されて、中村と西が丘へ応援に行きました。それが、めちゃくちゃ良い試合で感動して、二人で、翌週のスケジュールも変更して、決勝にも足を運びました。

中村さん:
あの試合が、私たちと、クリアソン新宿というサッカークラブが、ガッと近づくターニングポイントでした。これまでは、ただのビジネス上のパートナーでしたが、ピッチに立つ選手だけではなく、ベンチ選手もスタッフも人生をかけて戦っている姿を見て、丸山さんもスタンドから一番大きな声を出していて、感化されてしまいました。

金子さん:
その後、丸山さんから、クラブのパートナーのお話をいただきました。めちゃくちゃ興味があったものの少し時間をもらいました。ミッション・ビジョンの策定に取り組んでいたタイミングも重なり、社会性と経済性の両立を意識しました。クリアソンと日本マンパワーがビジネスパートナーとして価値を創出し、そこからクラブ運営にも貢献できるモデルを実現できれば、両社は共に成長できハッピーになれるロジックを立てました。あとは、経営陣へのプレゼンを頑張りました(笑) このようなチャレンジに経営陣が理解を示してくれたことが大きかったです。

これからも、嫉妬させてほしい

金子さん:
最後に、クリアソン新宿には、ぜひ、世界一のサッカークラブになってほしいです。そして、それと同じくらいに、理念を体現し続ける存在であってほしいと思っています。限界を作らずに、真っ直ぐに向き合う姿は、魅力的で、刺激をもらっています。クリアソン、日本マンパワーと、それぞれが素敵な組織をつくることができれば、私たちの研修や取り組みは、唯一無二の価値を提供できると思います。

中村さん:
私は、もっともっと「嫉妬させてほしい」と思っています。周りから「無茶だ」と言われている目標に対して、ブレずに突き進む強さは、今でも羨ましいし、嫉妬しています。これから組織が大きくなり周りの環境も変わり、さらに難しくなっていくこともあると思いますが、それでも「ひとつの想いだけでやっていける」「夢は叶う、人生は拓ける」という姿が見てみたいです。それを体現していく過程に私たちは嫉妬するので、そんな存在であり続けてほしいですね。

 


インタビュー後記

研修でも試合会場でも、いつも仲良くしていただいているお二人に、改めてお話を伺ってきました。お二人から感じるのは、大事なものに対する真摯な姿勢です。ミッション・ビジョンのプロジェクトを立ち上げる、一人ひとりと対話を重ねる、それは自分の会社を愛し、向き合っているからこそできることです。

そして、クリアソン新宿と日本マンパワーの糸も、お二人のご尽力なくしては、手繰り寄せることはできませんでした。自分のチームのように、クリアソン新宿のことを語ってくれることが、何よりも嬉しかったです。

余談ですが、昨年の関東サッカーリーグ2部の優勝が決まった日、私は研修の仕事でそのまま長崎に飛び、はじめに優勝報告をした相手が中村さんでした。これも、何かのご縁かもしれません。

井筒 陸也