引退コメント 石川大貴「ここではない、何処かで」

引退コメント 石川大貴「ここではない、何処かで」

2020シーズンをもって引退することを決めた、石川大貴のコメント。個性溢れるメンバーを多く抱えるクリアソン新宿の中でも、ひときわ 独特な感性と思考で、チームに新しい視点をもたらし続けた背番号10番が最後に語ったのは、クリアソン新宿の「世界観」についてだった。

石川 大貴(いしかわ だいき)
◾ 背番号:10
◾ ポジション : MF
◾ 生年月日 : 1995年10月1日(25歳)
◾ 身長 / 体重 : 183cm / 83kg
◾ 出身地 : 愛知県
◾ 経歴 : 早稲田大学ア式蹴球部→Criacao Shinjuku
◾ 在籍:2018年〜2020年

 

「ここではない、何処かで」

今回、クリアソン新宿を離れ、引退することに決めました。クリアソン新宿のチームメイト、パートナー、関わるすべての方には、感謝しかありません。僕のような人間を受け入れ、応援してくれて本当にありがとうございます。

3日後には違うことを想っているかもしれませんが、今、この瞬間にクリアソンについて想うことを書きます。それくらい、クリアソンには言葉にしたい感情がたくさんあります。せっかくの機会なので、本音で想っていることを言葉にしてみようと思います。

世の中に生きているほぼ全ての人が、望む望まないに関わらず多くのコミュニティに属すると思います。僕も例外ではなく、小・中・高、各年代のサッカークラブ、大学の友人など、クリアソンだけでなく多くのコミュニティに属してきました。その中で僕が感じてきたことは「孤独感」です。

自分で言うのもなんですが、僕は少し人と違うなと感じて生きてきました。多分、他の人よりも少し頭が良いと思います。他の人よりも少し感性が鋭いと思います。他の人よりも少し根性もあると思います。他の人よりも本気で夢とか愛とか信じています。でも他の人よりも客観的に俯瞰的に物事が見えてしまいます。そして、他の人よりも属したコミュニティが大好きになります。

ただ、どのコミュニティに属しても、好きになればなるほど、疎外感を感じて生きてきました。幸いなことに、どこに属しても一定の評価を与えられてきたし、必要とされてきましたが、本当の自分を受け止めてもらえる安心感を抱いたことはなくて、どこか寂しい気持ちを持ってきました。

そんな感覚を抱いて生きてきたので、人生の多くのものに対して諦めを持っていました。そんなときに出会ったのが丸さん(代表 丸山)と達也さん(#50 岡本)でした。ありのままの自分を受け止めてくれて、自分の感覚を面白いと言ってくれました。大げさではなく、初めて自分の人生に希望が持てた気がしました。

自分が自分らしく生きていれば「誰かに必要と思ってもらえるかもしれない」そう思えたからこそ今の自分があると心から思います。だからこそ、クリアソンにいる「自分」がとても好きでした。

クリアソンの魅力は、異なるものを一旦受け止めようとすることだと思います。
だからこそ新宿という土地に魅力を感じていると思うし、だからこそ普通のサッカークラブにはない魅力がクリアソン新宿にはあるのだと思います。

みんな「普通」とか「誰か」じゃなくて「自分」という感覚を持っているけど、
それを出すことが怖い世の中だからこそ、クリアソン新宿が今の在り方を信じて貫いて、世界一にたどり着いたときには、きっと世界中の人が、人とちょっと違う自分が素敵かもしれないと思える世界が待っていると思います。

色々なきっかけで私はクリアソンを離れることになりましたが、目指す世界観は同じだと思っています。クリアソンにいる自分ではなく、改めて石川大貴として人生に向き合ってみようと思います。きっとどこかでまた交わる気がするので、その日まで必死に生きたいと思います。

 


クリアソン新宿は、2018年に東京都1部リーグから関東2部リーグ、翌年に関東1部リーグにカテゴリーを上げた。そこには「ビエラ」こと、石川大貴の存在が必要不可欠だった。誰よりもクリアソン新宿を、サッカーを愛した男は、いつかまた交わることを信じて、自らの道を強く歩き始めた。成長した姿で再会できるように、お互い頑張ろう。

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