Criacao Player’s Story −On the Road− Vol.14 高橋 亜聡「自信に満ちたプレイヤーになるために」

Criacao Player’s Story −On the Road− Vol.14 高橋 亜聡「自信に満ちたプレイヤーになるために」

Enrich the world. を掲げ「誰もが豊かさの体現者となれる社会」を目指す Criacao Shinjuku。その中でも、株式会社Criacaoではなく、それぞれの企業・大学に所属しながらプレーする選手たちにスポットを当てた連続企画。出身はJリーグからサークルまで、現所属は大手企業から大学生まで、それぞれの立場の過去・現在・そして未来へと続くサッカー人生をひもとく。執筆を担当するのは、鹿屋体育大学サッカー部出身、現在はインターネット広告代理店勤務でクリエイティブ業務を行う 深澤 大乃進。選手たちの、昔と変わらない姿・変わっていく姿の両面に、第三者視点から迫る。


「自信に満ちたプレイヤーになるために」高橋 亜聡
Criacao Shinjukuの中での数少ない学生選手として、社会人に囲まれながら戦う #55高橋選手。サイドハーフの一角として、チームの攻撃を牽引するまでに至る、紆余曲折のストーリーに迫った。

▼ 高橋選手のプロフィール
https://criacao.co.jp/soccerclub/member/asato_takahashi/

自信と、挫折。

地元、埼玉県でサッカーを始めた高橋。小学生から中学生まで所属したチームは強豪ではなかったが、各年代でチームの中心として活躍し、サッカー選手としての自信を積み重ねていった。

高校進学時は「ベンチでも構わないから高いレベルのチームに挑戦したい」と思い、様々な高校の練習に参加。公立高校であり、S級ライセンスを持つ指導者がいるという理由から、さいたま市立浦和南高校へ進学することに決めた。

県内各地からレベルの高い選手が集まり、サッカー部の部員数は150人を超えていた。「正直、ベンチに入れるか分からない」と感じたが、スピードに乗ったドリブルと精度の高いキックが評価され、入部後1ヶ月ほどでトップチームに加わった。監督、OBや先輩に期待され、気づけば高橋は期待の新人となっていた。

高橋は「プレッシャーとして変な気を使うようになった」と話していたが、自分が評価され、周囲の注目を浴びたことで、自信がついていったのではないだろうか。その自信はプレーの調子を上げる要因にもなり、その成功体験がさらなる自信に繋がる…そんな好サイクルの中にいたのだろう。2年生の頃には中心選手として県大会で準優勝を経験。「自分の代ではチームを引っ張って、全国大会へ導きたい」という想いが高橋の中で生まれていた。

しかし、理想的な展開にはならなかった。3年生になった高橋は全国高校総体の埼玉県予選でスタメンから外され、控え選手になった。初めての挫折だった。チームを引っ張ると意気込んでいただけに、試合に出られずに、ただベンチからチームを見つめる自分が嫌になった。

予選敗退後「このまま高校サッカーは終われない」と奮発し、秋の全国高校サッカー選手権大会の埼玉県予選はスタメンとして出場できたものの、またもチームは2回戦で敗退。高橋の積み重ねてきた自信が崩れたできごととなり、自信に満ちた高橋が戻ることはなかった。

当時を振り返って、「全てが上手くいかなかった、試合に出られてもチーム内でも空回りすることが多くなり、監督や仲間と衝突することが多くなった」そして「高校サッカー引退後は、何に対してもモチベーションが湧いてこなかった」と話した。

もちろん、受験勉強を頑張る意欲も沸かなかった。監督から複数の大学サッカー部への推薦入学の話をもらっていたが「大学ではサッカーをやめて、遊ぼう」と、高橋は指定校推薦を使い大学へ進学する。


高橋選手は、自信を持つことで自分のプレーがうまくいくことを知っている選手。その自信を支えたのは、サッカーでの結果や、それを評価してくれる他者の存在だったのではないか。下級生ながらトップチームでプレーしていたこと、試合に出れば活躍できたことが自信を生み、モチベーションを高め、順調なサッカー生活に繋がった。

だから、結果を残せず、評価もされなかった高橋選手の高校最後のシーズンが、後に大きな影響を与えたことは想像がつく。次の章では、環境が変わり、高橋選手の自信を支える要素が変わっていく姿を紹介する

取り戻した自信と、新しく得た仲間。

大学入学後、高橋は髪を茶髪に染め、友人と遊び尽くす毎日を過ごした。当初は何事も新鮮で、サッカーからの解放感にあふれていた。しかし、半年ほど経ったある日「このままこんな生活をしていていいのだろうか」と考えるようになり、何か全力でやれること求めるようになった。遊び呆け、誰にも誇れない自分に自信が持てず、嫌気が差したのかもしれない。

考え続けるうちに「自分にはサッカーしかない」と心が決まり、チーム探しを始めた。今までは、友達や親のすすめで所属チームを選んできたが、今回は、自分の意思でクラブを選ばなければならなかった。必死に情報を集め、様々なクラブを検討し、Criacao(当時)に「お問い合わせ欄」から連絡した。メールでのやりとり、複数回の面談、練習参加と長い過程もいとわず、Procriarへの加入が決まった。

Procriarでは、一緒にプレーする仲間の温かさと、自由にサッカーができる雰囲気が高橋にとっては新鮮で、サッカーのブランクを取り戻す上で最適な環境だった。加入から半年ほど経った時、徳島稔(Procriar #33)から「上(Criacao Shinjuku)でやってみない?」と問われ、加入を決める。当時、高橋は心の中で「関東2部ってレベルが高いだろうな」と思う一方で、どこか「自分ならやれるかもしれない」という自信もあった。

しかし、すぐさまその自信は失うことになる。Jリーグを経験した選手のいるレベルについていけず、練習でも周囲から怒られ続ける日々を過ごした。「みんなを敵だと感じ、自分のプレーもできず、練習後一人で泣くときもあった」と話した。

転機となったのは、監督の成山との個別のミーティングだった。「自分の苦手な部分を、チームの最低限のレベルに合わせたい」と高橋は考えを話したが、成山と会話を重ねる中で、Jリーグを経験している選手たちとの差は、一朝一夕には埋められないことに気づいた。そして「短所を消す努力ではなく、長所を磨く努力をしよう」と決めた。高橋が「新しい自信の持ち方」を知り、サッカー選手として成長するきっかけになったのは、この瞬間だった。

今までは、結果や、他者からの評価という、外にあるものを自信の根拠にしていた。しかし、そこから解き放たれた高橋はチームの中で、自分の優れている部分を見つけ、高め、プレーの調子を上げていった。

出場時間は増えたが、次の課題は、チームメートとの連携だった。加入当初のコンプレックスから、周囲との積極的な関わりを避けていた。#5恩田と鳥海(Criacao Shinjuku 前・マネージャー、現・広報)との食事の際「このままだと、亜聡はみんなのことがわからないし、みんなも亜聡のことがわからない」と言われた。

「何を話せばいいの?」という気持ちはあったが、恩田の「後輩からご飯誘われたら、先輩は嬉しいよ」という言葉が高橋の背中を押し、打ち解けられていない人たち全員を、順に食事に誘ったという。この取り組みが功を奏し、グラウンドの内外で周囲とコミュニケーションを取れるようになった。

「会話量が増えたことで、様々な戦術や選手の考え方を吸収し、サッカー選手としての成長を感じている」と話した。今季はそれが結果として現れるシーズンとなった。チームトップの得点をあげ、試合を重ねるごとにその存在感は増していった。自分の自信の根拠を外側に依存していた高校時代から、Criacao Shinjukuに加入し、様々な経験を積んでいく中で、自分の中にその根拠を見つけ、周囲と関わることができるようになった。

最後に高橋は「関東1部リーグを戦い、よりチーム力が大事になってくることがわかった。その中で、自分が試合に出ていなくても応援できる、お互いに頑張ろうと思える仲間を大切にしていきたい」と話した。自分と仲間、チームとの関係性を保つことが、自らの自信に繋がることに気づいたからこそだろう。


自信というテーマの中で、本人は意識していないと思うが、目的のために手段を選ばず、素直に実践していく高橋選手の行動が印象的だった。自分の自信を取り戻すために社会人サッカーを始めたこと、先輩をご飯に誘い、仲間との関係性を築いていったことなどである。躊躇なく、一歩を踏み出せることが高橋選手の強みであり、高校時代に失った自信を取り戻すことができたのは、そうした彼の強みが生かされたと言える。

また、チームメイトとの関わりも、当初は自分が自信を持つために始めたことだったが、気づけば仲間への信頼が生まれ、他の選手にも自分を理解され、良い関係性が構築されていったのだろう。そして、関係性が、また自分のプレーにも繋がる、そんな好循環を高橋選手は発見したのだろう。インタビューの最後で、仲間やチームについて話したのは、彼の中で、この発見が大きかったからだろう。周囲との関わりを強めながら、成長していく高橋が今後どのような選手になっていくか、Criacao Shinjukuにどんな影響を与えていくのか、目が離せない。

 

 

written by
深澤 大乃進(ふかさわ ひろのしん)
学生時代は選手兼広報として、SNS運用や集客を担当。現在は、インターネット広告代理店勤務でクリエイティブ業務を行う。会社の同僚が所属していたことをきっかけに、クリアソン新宿を知る。クリアソン新宿のメンバーと話していく中で、チームの方向性や活動する選手たちに魅力を感じ、取材を決意。

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