2024年をもって執行役員の退任が発表された原田亮。2025年は引き続きクリアソンでパートナーシップ事業に従事する。心機一転した彼が目指す 新しいパートナーシップのありかたとは。選手としても、2011年からクリアソンを知る最古参として、唯一となったサークル出身者として、自身に課した役割を語ってもらった。
―まずは、選手 原田亮として、2024シーズンを振り返っていかがでしたか。
JFLに上がって3年目でしたが、対戦相手のレベルが上がっていて、強敵ばかりだったと言うのが率直な感想です。とある理由でシーズン途中に2年前に高知ユナイテッドSCと対戦した映像を見たんですが、今年の方が明らかに強くなっていました。シーズン全体としては、われわれの綻びを突かれて、そこを試合中に改善しても踏ん張られ、こちらが焦れた時にまたそこを突かれて勝ち点を落とすという展開が多かった。勝てなかったことも相まって、シーズン序盤に自分たちのやっていることに自信を持てなかったのが痛かったです。
―そんな中で、副キャプテンという役割もありました。
2月頭のキャンプで指名してもらってから、須藤と鈴木と3人で色々議論して、チームとして「みんなが第一感情で思っていることをぶつけられること」「みんなに火が付いている状態をつくること」を目指しました。ただ、開幕から0-4、0-4とつまずいてしまって、目先の結果を改善するための打ち手を考える優先順位を上げていました。逆算思考で月次や週次でやるべきことを整理していくようなことが、僕に求められていた部分だったと思うのですが、一年間成績が上向かなかったのもあり、そういう付加価値が出せませんでした。須藤とも相談して、途中からは一選手として火が付いている状態を体現することに集中させてもらっていました。
―非常に苦しいシーズンでしたが、チームとしてどんな収穫があったと思いますか。
プレッシャーがかかる中で、自分たちのサッカーを決め、最後は自信を持ってそれをやり切って、最低限の結果が出せたことには価値があったと思います。翌シーズン前の今はなんとでも言えますが、飛躍する土台を作れたと言えるように翌シーズンに臨みたいです。
―選手個人としては、どんな一年にしたいですか。
可能性に蓋をせず、強い意思と行動で自らを高め続けることが自分の使命だと捉えています。得点がリーグ最少の中、当然、攻撃陣に新しい仲間が加わると思いますが、それでも自身の役割を見出して「自分の成長」と「組織の必要」を掛け合わせる挑戦をしていきたいです。また、理系院卒やサークル出身、大企業経験など、他のメンバーにない自分のバックグラウンドもあります。一度はサッカー選手としてのキャリアを諦めても、自分らしく挑戦し続けられる姿勢を通じて、多くの方の心に何か希望が湧いてくるような存在になりたいです。
―仕事の面では、2024年を持って執行役員を退任することが発表されました。
株式会社Criacaoでは、特に30歳前後のメンバーが大きな成果を残してくれています。僕が苦手としている社員の成長支援やマネジメントを得意とするメンバーも台頭して、本当に頼もしく、このタイミングで僕が違う役割を担った方が組織が前に進むと率直に思っています。だから、退任という判断は妥当だと感じています。これがスタートアップが成長する中で創業期の役員が退任していくという一般的な傾向に近いのかもしれません。分かりやすい成果を上げられなかった悔しさはもちろんありますが、入社時から丸山はじめ経営メンバーとは近しい距離にあったので、今後は経営陣から発信される意志のこもった決定事項を聞く立場になることで、自分にどんな感情が生まれてくるのかワクワクしています。
―仕事面の成果はいかがでしたか。
クリアソンとしては2度の国立開催、入場者数3万人達成、パートナー200社越えなど、地道に継続してきたことの成果が出てきた一年だったと思います。個人としては、パートナー企業の経営者・役員を中心とした経営塾「クリアソン新塾」をスタートさせました。スポーツクラブが経営者などを招いて交流会を主催するのは一般的ですが、「失敗から学ぶ」「リーダーシップ」というクリアソンが大事にしているテーマをベースに、このスポーツの価値の一つであるハブ機能を実現できていることに手応えを感じています。多くの仲間に助けてもらいながら形にできたので、来年より発展させていきたいです。
―パートナー企業との関係構築については、パートナーが数社だった時代から原田さんがこだわってきた部分だと思います。
200社という数字は、Jリーグのクラブと比較すると大きくはないかもしれませんが、2、3年前に立ち戻ってみると当時想像していたよりも多くの方々に仲間になってくれたと感じています。しかも、クラブの理念を共に実現する「パートナー」というコアにある大事なことを変えずにここまで広がってきたことに、嬉しさを感じています。
―引き続き、営業部でパートナー企業と共に価値を作っていくことを目指すと思いますが、今後の展望を教えてください。
僕は当初から、仲間を増やす「新規営業」ではなく、仲間になってくれた人とどう繋がって、どう深めていくかを設計する仕事をしてきました。今後は、特にパートナー企業の中でも規模が大きい会社を担当します。クリアソンもそうですが、スポーツクラブと企業の関係は、例えば、そのチームを広告として使いたいなど、一つの部署のミッションに貢献する形で完結している傾向にあります。その一点で取り組みを深めていくことと、一方で、異なるミッションを持ち、素晴らしいアセットを持っている他の部署の人たちとも協業することで、社会にもっとインパクトも出せるかもしれません。選手である利点も活かしながら、そうしたことが実現できるくらいまで企業に入り込んで、結果的に私がいたからこそできたパートナーシップのあり方を見出していきたいです。