伊藤大の劇的決勝弾で6連勝|選手が書く!マッチレビュー 関東リーグ 後期第9節 vs 東京ユナイテッドFC 文=#3 井筒 陸也

伊藤大の劇的決勝弾で6連勝|選手が書く!マッチレビュー 関東リーグ 後期第9節 vs 東京ユナイテッドFC 文=#3 井筒 陸也


9月20日 (月・祝)
関東サッカーリーグ 1部後期第9節

■ 試合結果
Criacao Shinjuku 3(2-0、1−2)2 東京ユナイテッドFC

■ 得点(アシスト)
31分 19 大谷 真史(24 森村 昂太)
34分 50 岡本 達也(2 瀬川 和樹)
46分 東京ユナイテッドFC
60分 東京ユナイテッドFC
77分 16 伊藤 大介(20 樋口 裕平)

■ メンバー
<スタメン>
GK:26岩舘
DF:2瀬川、3井筒、15米原、25千葉
MF:8須藤、13高橋滉、20樋口、24森村
FW:19大谷、50岡本
<サブ>
1阿部、51小林、16伊藤大 、17池谷、23西山、27岡野、9原田

■ 交代
後半25分 森村 ⇒ 伊藤大
後半31分 岡本 ⇒ 池谷、須藤 ⇒ 西山
後半41分 大谷 ⇒ 原田


■ マッチレビュー(文= #3 井筒 陸也)
早いもので後期も第9節。12チームで行われるリーグ戦は、新型コロナウイルスによる未消化試合を除けば残り3試合ということになる。クリアソン新宿は5連勝中で破竹の勢いだが、首位との勝ち点差を縮めるチャンスは多く残されていないため、今節も「絶対に負けられない」どころか、引き分けすら許されない状況。

相手は、新宿区に隣接する文京区に居を構える東京ユナイテッドFC。同じく23区からのJリーグ入りを目指しているライバルで、これまで幾度となくしのぎを削ってきた。スコアボードには「東京vs新宿」の文字。JR・東京メトロ・都営地下鉄が乗り入れる交通の要所・飯田橋駅から至近の小石川運動場は、まさに東京ダービーにふさわしいロケーション。ちょうど日が落ち始める17:30、ビルに囲まれたピッチに、静かにキックオフの笛が鳴り響いた。

ここ数試合、立ち上がりを制して押し切る展開が多かったクリアソン新宿だが、この日はそうならない。コンセプト通り、前に前にボールを送り、岡本(#50)、大谷(#19)が上手くおさめるシーンもあったが、5連敗中とは思えない東京ユナイテッドFCの攻勢に、圧迫感のあるゲーム展開が続く。

それでも、31分に森村(#24)のシュートのディフレクションに、大谷が素早く反応。難しい体勢から反転して放ったシュートは、僅かにカーブしながらゴール右に刺さり先制。少ないチャンスをものにした。

続く34分。瀬川(#2)の鋭いコーナーキックに、岡本がゴールキーパー前でヘディングで合わせ、立て続けに追加点。気持ちの良いゲームにならなくても、全員で守って、機を見て攻撃に転じ、早い時間帯で点を奪えるようになったのは、前期より進化したクリアソン新宿の姿だろう。

サッカー界には、2-0のリードは油断が生まれやすく逆転が起きやすいという“説” がある。選手たちは、これまでの長いサッカー人生の中で、逆転する側・される側の両方で、その “説” を奇しくも立証して続けてきた。

今日こそ、そうはさせないと、ハーフタイムでは「気持ちの緩みを見せないこと」「3点目を取りに行くこと」を誓う。そして後半へ。

しかし、サッカーの歴史に抗うことは難しい。後半のキックオフで蹴り込んだボールが跳ね返されると、いとも簡単に自陣に相手の侵入を許してしまう。そこから、微妙なタイミングで抜け出した選手に上手く裏を突かれ、カバーに入ろうとした岩舘(#26)の頭上を越すループシュートが入ってしまう。記録上は後半1分の失点となったが、おそらく後半開始から十数秒といったところ。

スコアは2-1で1点リードだが、クリアソン新宿が心に負ったダメージは大きかった。息の根を止めるまであと少しだった相手に起死回生のカウンターパンチを喰らい、マウントポジションが入れ替わった。

ほとんど混乱状態のまま、後半15分には同点ゴールまで奪われ、試合はまったくの振り出しに戻る。大きな波に飲まれて、抵抗するどころか満足に息継ぎもできない。流されるまま「2-3」という岸辺にうち付けられる未来が、ありあり目に浮かんだ。

ここでベンチが動く。これまでの試合でも途中出場で “違い” を作ってきた伊藤大(#16)を投入。続けて、池谷(#17)、西山(#23)をピッチに送り、中盤でのゲームコントロールを狙う。

すると、後半32分。左サイドを突破した樋口(#20)から、突っ込みすぎずに自分のスペースを確保していた伊藤大の足元にボールが繋がる。身体を寝かせながらも確実に芯を捉えたシュートは、綺麗にゴールに吸い込まれた。

すぐに立ち上がり、ベンチに走っていく伊藤大。祝福する選手・スタッフ。殴られ続ける時間を耐え、やっとの思いで繰り出した一発で、クリアソン新宿に生気が宿る。

悲喜交々、折り重なるのがサッカー。2得点の歓喜、2失点の絶望、そして再び訪れた歓喜。たった90分の中でも様々な感情を味わい、確実に成長したクリアソン新宿は、残りの時間、相手に激しく攻められるもこれをシャットアウト。決意に満ちた態度で戦い切り、勝ち点3を手中におさめた。

■ レビュー担当 井筒が語る試合の裏側
いつもクリアソン新宿を応援していただきありがとうございます。今回のレビューを担当しました背番号 3番の井筒です。今節、東京ユナイテッドとの試合は、いつも以上に気合いが入っていました。

前期、岡本のゴールが取り消しになり、勝ち点を分け合う結果に終わったこと、皆様の記憶にも新しいはずです。その悔しさを忘れることなく、日々鍛錬に励んできました。リーグも終盤に差し掛かると、勝点の計算ができるようになり、眼前のゲームに向き合うことが難しくなってきます。しかし、昨日は「とにかく東京ユナイテッドを倒したい」という想いで戦うことができました。

2-0のリードは、優位に立っているように見えて、非常に危険な状態です。それが分かっていても、勝負の流れとは恐ろしいもので、やはり そのまま逃げ切れるようなオイシイ展開にはなりませんでした。ただ、一度は相手にいってしまった流れを、再びこちら側に引き寄せることができたのは、クリアソン新宿にとって大きな経験となりました。また同じような場面に遭遇しても、今日のことを思い出せば、諦めることなく戦い続けられるのではないかと思います。

■ レビュー担当が選ぶ、ピックアッププレイヤー
伊藤 大介(#16)

<選出理由>
「ひねりを加えて、違う人を選んじゃおうかな」とも思ったのですが、ここはまっすぐ、伊藤大介を。得点シーン以外でも躍動していました。2-0から追いつかれた難しいゲーム展開で、場は荒れ、ルーズボールや空中戦が多かった後半。得意じゃないプレーでも献身的に働き続け、そして結果も出す。選ばざるを得ないです。無念。

<メッセージ>
最近はサブでの出場が増え、サッカー的にも精神的にも難しい役割を担ってもらっている、ずっとそう感じていました。それでも、ほとんどの試合で存在感を放ち、今節はゲームを決めるゴール。日々の練習や試合から、自分に与えられたタスクに向き合い、イメージを作っているからこそ成せる技なんじゃないかなと、勝手に思っています。本当にすごい。スタートで出させてもらっている立場として、本当に心強い。

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