開幕戦は、悔しい黒星スタート|試合レビュー 関東リーグ 前期第1節 vs 東京23FC 文=#19 大谷 真史

開幕戦は、悔しい黒星スタート|試合レビュー 関東リーグ 前期第1節 vs 東京23FC 文=#19 大谷 真史


関東サッカーリーグ 1部 前期第1節
vs 東京23FC
文= #19 大谷 真史

■ 試合結果
Criacao Shinjuku 1(0−0、1−3)3 東京23FC

■ 得点(アシスト)
52分 東京23FC
60分 東京23FC
73分 #50 岡本 達也
84分 東京23FC


雲ひとつない絶好の開幕日和となった4月3日。2020年叶わなかった”JFL昇格”を目標に、2021シーズンがスタートした。コロナウイルス対策のため予約制となっのチケット約400枚は完売となり、クリアソン新宿というチームの真価が早速問われる試合となった。

相手は東京23FC。関東1部に長く在籍する強豪チームとの両チームのプライドをかけた一戦に、試合前からリーグ戦特有の緊張感が会場に漂い始める。開始早々、前へ前へと声をかけ続ける両チーム。リーグ開幕戦にふさわしい、非常に激しい試合となる予感が感じられるスタートとなった。

クリアソン新宿は、前線の原田(#9)を起点に、樋口(#20)、池谷(#17)のサイドを使った攻撃で攻め立てる。攻守の切り替えが瞬時に行われるハードワークにより、東京23FCに自由な時間を与えない。しかし、東京23FCも巧みなドリブルとパスを織り交ぜながら、前がかりになるクリアソンの隙をつきカウンターで何度も対抗する。

この試合、最初の決定機をむかえたのはクリアソン新宿。前半23分、サイド攻撃によって得たコーナーキックを蹴るのは、今年新加入した瀬川(#2)。正確なキックを中にあげると、DFの千葉(#25)が走り込みながらヘディングで合わせる。このシュートは惜しくもゴールの上に外れてしまうが、初の決定機に会場がどよめく。

その後もセットプレーのチャンスが続く。前半28分には、右サイドからの瀬川のフリーキックが、ゴール前に密集した選手間をすり抜けゴールかと思いきや、相手選手がかろうじてクリア。ゴールまでもう一歩のところまできているが、東京23FCの踏ん張りによって、その一歩がなかなか踏み込めない。

逆に東京23FCのカウンター攻撃のチャンスが訪れる。右サイドでの個人技の突破により、ゴール前にボールを折り返されると、そのボールを東京23FCの選手がワンタッチでシュートを放つ。しかし、ボールはゴール左に逸れ、安堵のため息が会場に漏れる。

前半36分、クリアソン新宿がまたもセットプレーのチャンスを得る。須藤(#8)がゴール前に正確なロングキックを送ると、走り込んできた原田が強烈なヘディングシュート。ボールは惜しくもキーパー正面にこぼれ、チャンスは潰れしまうが、高さを武器とした原田の強みが出た場面となった。

そして前半ロスタイム。クリアソン新宿、最後のセットプレー。センターライン付近からのロングボールを原田がヘディングで競り勝ちゴール前に送る。ゴール前に流れたボールを、新加入の池谷がボレーで合わせるが、これも枠の外。

緊迫した立ち上がりの中、セットプレーを中心にチャンスを何度も作ったクリアソン新宿だが、そのチャンスをモノにできず、後半に勝負をかけることになる。そしてクリアソン新宿のチャンスと共に、東京23FCの粘りが目立った前半となった。

両チームメンバー交代はなく、後半開始のホイッスルを迎える。前半同様、原田と東京23FCのディフェンダーの、ヘディングの競り合いが開始早々繰り広げられる。激しくぶつかり合う、両者のカラダの音が会場に何度も鳴り響く。

試合が動いたのは、後半6分。クリアソン新宿の選手間でうまくパスをつなぎながら、東京23FCがペナルティエリアまで侵入をはかる。パスを受けた東京23FCの選手が、ペナルティエリア付近で左足を振り抜く。DFに当たってコースが変わったボールはポストに当たり難を逃れるが、こぼれ球を拾ったのは東京23FC。ワンタッチでボールをゴールに押し込み先制。値千金の開幕ゴールは相手チームの手に渡ることとなった。

取り返しにいくクリアソン新宿。前かがりになったDF陣の隙をついて攻める東京23FC。2点目の行方が気になる中、またもや東京23FCのベンチ側に歓喜が訪れる。後半14分、左サイドからの鮮やかなパスワークから、ゴール前に持ち込み、最後は東京23FCのFWが右足を振り抜きネットに刺さる。クリアソン新宿にとっては、苦しい展開が続く。しかし、キャプテン井筒(#3)を中心に、ポジティブな声かけが広がる。劣勢な状況でこそ、チームと個人の力が試されている。


2失点目を喫した直後、クリアソン新宿が動く。前半からサイドを駆け巡った樋口(#20)、そして千葉(#25)と渥美(#40)を下げ、岡本(#50)、伊勢(#11)、小林(#51)を投入するという「3枚替え」。流れを変えようという、監督 成山の意図が感じられるメンバー交代となった。

J1クラブから新加入の小林は、これが関東リーグ初出場となる。そして後半28分、投入された選手のゴールにより試合が動く。左サイドのコーナーキックを瀬川がゴール前に放り込むと、途中出場の岡本が柔らかいトラップから、難しい体勢から体を反転させながらゴールの右隅にシュート。

そのままネットに吸い込まれ、岡本の技ありゴールでクリアソン新宿が1点差に詰め寄る。さぁこれからだと言わんばかりに、会場の盛り上がりが増す。残り15分間の激闘の行方を、約400人の観客が息を呑んで見つめる。

後半30分には、池谷に代わって大和田(#77)を投入。サイド攻撃の厚みを増して、さらに仕掛けようという意図がみえてくる。ドリブルを得意とした大和田、左右への配球ができる岡野(#27)が投入される。

足が止まり始めたクリアソン新宿の選手間を縫うようにして、東京23FCの選手が三度ドリブルや細かいパスで攻撃を仕掛け続ける。傾きはじめた流れが、またもや東京23FCに。そして後半39分、東京23FCが左サイドを突破。クリアソン新宿の守備陣を破り、ゴール前にクロスを放り込む。相手FWがそのままヘディングでネットに突き刺し、1-3。勝負を確信したかのように、ベンチメンバーと抱き合う東京23FC。

ラスト5分、クリアソン新宿が負けじと怒涛の勢いでゴールに迫る。途中交代で入った大和田が、左サイドを突破し、決定機を何度も演出する。しかし、そのクロスになかなか合わせられない。集中した相手守備陣が立ちはだかるり、両チームのベンチから、「諦めるな!立て!」という血が混じったような熱いゲキが飛び交う。高さのあるDFの米原(#15)を前線にあげ、クリアソン新宿はゴール前に再三ボールを運ぶも、ネットは揺らせず。そのまま試合終了の笛が鳴り響いた。

JFL昇格に向けて挑んだ初戦。東京23FCとの激しい攻防の末、黒星スタートという結果となった。会場に足を運んでくださった400名の方々、そして遠くで応援してくださる方々の思いを無駄にしないためにも、クリアソン新宿が熱くプレーし続けることに変わりはない。そしてクリアソン新宿は新たな成長を続け、進化していく。東京23FC戦で得た気づきを強さに変えて、次の一戦に臨みます。


■ 試合レビュー担当 #19 大谷真史 コメント
クリアソン新宿を支えてくださっている皆さま、いつもありがとうございます。まず、このコロナ禍において、こうして開幕戦を無事スタートできたことを心から幸せに思います。そして多くの方々の見えない尽力によって、サッカーができていることに深く感謝しています…

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