Criacao Shinjuku “ありたいと思う姿 ” を体現し続け、逆転勝利で有終の美。

Criacao Shinjuku “ありたいと思う姿 ” を体現し続け、逆転勝利で有終の美。

関東サッカーリーグ1部 第9節
Criacao Shinjuku vs 流経大ドラゴンズ龍ヶ崎

第9節 試合レビュー担当 岩舘 直(#26)

●試合結果 
Criacao Shinjuku 2(0-0、2-1)1 流経大ドラゴンズ龍ヶ崎

● 得点(アシスト)
54分 流経大ドラゴンズ龍ヶ崎
71分 #55 高橋 亜聡(#8 須藤 岳晟)
89分 #6 黄 誠秀

前節、栃木シティフットボールクラブとの試合に敗れ、JFL昇格の可能性が断たれ、迎えた最終節。今シーズン始動時に掲げた目標を失った中でどう戦うのか、自分たちの「ありたいと思う姿」が試される試合になった。

相手は多くのJリーガーを輩出してきた大学サッカーの名門・流経大ドラゴンズ龍ヶ崎。若く、将来有望な選手たちが、結果を残して、流通経済大学のトップチームへの昇格を果たすべく、アグレッシブな攻撃を仕掛けてくる。

試合開始早々に高橋滉(#13)が相手左サイドを抜け出しCKを獲得。試合前のMTGでも話し合った通り、積極的な立ち上がりを見せる。対する流経大ドラゴンズ龍ヶ崎も守備に回ることなく、開始15分までの間にお互い決定機を作り出すなど両者ともに果敢に攻める姿勢を見せる。

20分には高橋亜(#55)のプレスから相手ゴール前でボールを奪うと、すかさずサポートに入った伊藤大(#16)につなぎ相手GKと1対1の絶好機を迎える。伊藤大(#16)の放ったシュートは相手GKの脇をすり抜けてゴールに向かってゴロがっていくが、DFがゴールラインすれすれのところで掻き出し、阻まれる。

その他にも原田(#9)のシュートがポストにはじかれるなど、ゴール目前のところまで何度も好機を作り出すものの得点には至らず。0-0のまま前半終了。

後半になると、ギアを上げて攻撃に出てくる流経大ドラゴンズ龍ヶ崎に主導権を握られる展開に。相手にボールを支配されてはいるが決定的なチャンスは作らせず、じっと耐える時間が続く。流れを変えるべく、後半8分にはFW原田に替えて黄(#6)を投入し巻き返しを図る。

しかし、交代直後の後半9分。クロスボールの折り返しを守備の連携ミスから相手に詰められて失点。うまく守れていただけに悔やまれる失点だった。

攻めるしかなくなったCriacao Shinjukuは、主導権を取り返そうと、低い位置からもパスをつなぎ局面のリズムを掴もうとするが、得点でさらに勢いの増す流経大ドラゴンズ龍ヶ崎のプレスをかいくぐることが出来ない。

すると、ここでとどめの追加点を取ろうと前がかりになる流経大ドラゴンズ龍ヶ崎はさらに前線に人数をかけてくる。その結果、流経大ドラゴンズ龍ヶ崎の中盤とDFラインの間にスペースが生まれ始めてきた。

後半26分、流経大ドラゴンズ龍ヶ崎の左サイドからのクロスボールをGK岩舘(#26)がキャッチすると、ここぞとばかりにCriacao Shinjukuの選手たちが走り出す。

相手の戻りも早くカウンター1発とはいかなかったものの、相手陣内深くまで侵入したところから左右に揺さぶりMF須藤(#8)がクロスを上げる。ニアで競り合った岡本(#50)、黄がつぶれ、ファーに流れたボールを高橋亜が頭でつめて同点ゴールを奪う。後半が始まってから相手陣内に攻め込んだ最初のプレーだった。

同点直後の後半27分、さらに追加点を取るため監督成山が動く。岡本、高橋亜に替えて、渥美(#40)、伊勢(#11)を投入。同点によりCriacao Shinjukuの選手も息を吹き返し、完全に流経大ドラゴンズ龍ヶ崎に傾いていた試合の展開は、拮抗しはじめる。

後半36分、一進一退の攻防が続くなか、流経大ドラゴンズ龍ヶ崎のクロスボールをクリアしようとした米原(#15)が相手選手と激しく接触し、互いに頭部から出血。負傷交代となる。およそ5分の中断の後、再開。後半41分、怪我した米原に替わり大野(#18)、左サイドバックの樋口(#20)に替わり岡野(#27)が入る。

再開してからすぐのことだった。味方のクリアを自陣で拾った伊勢が前方の渥美に預けて右サイドを走り抜ける。渥美は自分を追い越していく伊勢を確認すると、もう一度伊勢の前方にパスを送る。

50~60mほどスプリントしたであろう伊勢が持ち前の脚力で相手を振り切りグラウンダーのクロスを入れると、ニアで黄がDF2枚を引き付け、ファーに走り込んだ高橋滉がシュート。相手DFに当たったボールは頭上に上がり、ニアの黄のもとへ。このボールを黄が落ち着いて頭で詰め込みゴール。ついに逆転する。

米原の負傷交代もあり、アディショナルタイムは7分の表示。逆転後も守りに入ることなく攻め続けるCriaco Shinjuku。後半45+4分には高橋滉に替えて「走る取締役」こと剣持(#22)を投入し、最後まで攻める姿勢を崩さず試合終了。はじめての関東一部リーグ。目標には届かなかったが、笑顔で最終節を締めくくった。

●レビュー担当選手コメント
Criacao Shinjukuを支えてくださっている皆様、いつもありがとうございます。
背番号26番 GKの岩舘 直です。

冒頭でも触れましたが、前節でJFL昇格という目標が潰えてしまい、それぞれのモチベーションの方向がバラバラになってしまってもおかしくないシチュエーションで迎えた最終節でした。

ただ、それでもこのチームが最後まで逆転することを信じ、戦い抜くことができたのは、このチームの選手全員が「そもそも社会人になってまでサッカーをやっている意味って何だっけ?」と無茶苦茶に忙しい中でサッカーを続けている意味を、自問自答しながら日々を過ごしているからだと思います。

Criacao Shinjukuがただのプロサッカー選手の集まりで、昇格することだけが目的のサッカークラブだったら、この試合を逆転することはできなかったんじゃないかと私は思っています。

もちろん昇格という目標を果たすためにまた来シーズンも全力で挑みますが、ただ、この昇格の先に「何を目的としているのか?」この試合のように、それを見失わずに進んでいきたいと思います。

今シーズンも熱い応援をありがとうございました。

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