Match Result
高知ユナイテッドSC 0(0-0、0-0)0 クリアソン新宿
Member
Starting Lineup
GK 浅沼優瑠
DF 須藤岳晟、竹内諒太郎、黄誠秀
MF 相澤佑哉、石井圭太、高橋滉也、池谷友喜、中山雄登、大﨑淳矢
FW 齊藤和樹
Substitute
岩舘直、瀬川和樹、赤井シャロッド裕貴、澤井直人、千葉丈太郎、小屋原尚希、佐野翼
68分:池谷友喜→澤井直人
81分:大﨑淳矢→瀬川和樹、中山雄登→小屋原尚希
90分:齊藤和樹→赤井シャロッド裕貴、高橋滉也→千葉丈太郎
Match Review
ミネベアミツミFCとの大一番となったホーム最終節では会心の勝利を挙げたクリアソン。下位のミネベアミツミFC、横河武蔵野FCが揃って勝利し、かつ得失点差でも抜かされない限り残留が決まる状況だったが「それが逆に怖かった。そういった状況からひっくり返されることを自分のキャリアで何度も見てきた」(監督 北嶋)と気は抜かない。
相手は2位を確定させ、YSCC横浜とのJ3・JFL入れ替え戦への進出が決まっている高知ユナイテッドSC。今季前半戦では圧倒的な強さを見せながらも後期はホームで未勝利と夏頃から苦戦が続いていた。最終戦、ホームで勝利を挙げ入れ替え戦への弾みとしたいだけに、並々ならぬモチベーションでクリアソンを迎え打った。
スタメンではこの試合が現役生活最後の一戦となる黄がスタメンの一角に。同じく今季限りで現役を退く千葉もベンチに入った。
前半は静かな展開が続くが、主導権を握っていたのは高知。相手ボランチに対するプレッシャーの掛け方で苦戦し、前線からの守備がうまくはハマらない時間が続く。それでもファイナルサードでは仕事をさせず。お互いにこれといった決定機は作れずに前半を終えた。
後半は「守備面ではボランチのプレッシャーの掛け方、攻撃面では”利他ラン”をどんどんと使ってコンビネーションを使って崩すように指示した」(北嶋)と修正。
それが開始直後からハマり、いきなり決定機を作る。46分、左サイドでボールを持った大﨑からファーサイドへとクロスが上がると、高橋の折り返しに池谷がワントラップしてから右足を振り抜く。これは相手GKの好反応で防がれるが、リズムをつかめなかった前半とは打って変わってクリアソンが立て続けに決定機を作る。
しかし、どれもゴールにはつながらず。中盤以降は相手も勢いを取り戻し、再び膠着した展開に。結局両者ともにゴールは生まれず、スコアレスでシーズン終了のホイッスルを迎えた。
今季は北嶋秀朗新監督のもと、優勝、J3昇格を目標にしていたものの、開幕戦の大敗から苦しい時間が続き、わずか5勝でシーズンを終えた。それでも守備に重きを置いたチーム構成へとシフトした夏場以降は13戦で10失点と1試合平均で1失点を下回り「守備に関しては手応えのある後期だった」(北嶋)と積み重ねたものは大きい。
今節も前期の対戦では4失点を喫した相手に「相手にやられたところはなかったと思う」(北嶋)と磐石の守りを見せた。
「この苦しかった1年をどんなモノにしていくか、来年以降にかかっていると思う」(須藤)。来季の開幕までは約3ヶ月半。武器となった守備力にはさらに磨きをかけ、課題となった攻撃力には解を見出し、来季こそはJFL優勝、そしてJリーグへの扉を開きたい。
Comments
監督 北嶋秀朗
――自力で残留を決めた今の心境はいかがですか。
まずは、高知ユナイテッドSCがJFLの代表として、一緒に戦った仲間として、J3との入れ替え戦で勝ってJリーグに上がってほしいなと思います。
試合の感想としては、前節の結果で勝ち点1でも取れば残留が決まるという立場、残留争いでは優位にありましたが、それが逆に怖かったというか、そういった状況からひっくり返されることを自分のキャリアの中で何度も見てきました。
今週は練習から雰囲気を締めて、選手たちにも厳しく言ってこの試合に臨みました。今日の選手たちの振る舞いは、ずっと凡事徹底という言葉を使っていますけど、それをすごくやってくれた。その中でチームとしての修正、前半にうまくいかなかった守備の部分での修正の反応もすごく良くて、相手にやられたところはなかったと思いますし、隙なくできたと思います。
――HTにはどんな指示を送ったのでしょうか。
ボランチのプレッシャーの掛け方についてです。相手の4番の選手がボールを持った時にゴルゴ(石井)が相手のボランチの8番にプレッシャーにいってしまうと剥がされるというシーンが続いていたので、逆のボランチの雄登(中山)が出て、ブロックの間には同サイドのボランチがしっかりといるように修正しました。そこはうまくハマったと思います。
攻撃面では利他ランをどんどんと使って、相手はそこに対応できていなかったので、コンビネーションを使って崩すというのは、後半の頭からよくできたと思います。あとはゴールを決めるか決めないか、そこは選手にやってもらわなくてはいけないところですね。
――終盤では瀬川選手をシャドーで起用しました。そういったユーティリティ性も含め、今季の積み重ねは大きいと思います。
セグ(瀬川)はウイングバックというイメージを持たれてきましたけど、シャドーでも武器になってきましたし、前節は左のサイドハーフでもうまくやってくれました。いろいろな人がいろいろなポジションをやっても、システムが変わっても、クリアソンのサッカーの原則というものをみんなが理解しているということです。
守備に関しては、本当に手応えのある後期だったので、あとは攻撃をどうするか、それがオフシーズンの課題です。
須藤岳晟
――自力で残留を決めた今の心境はいかがですか。
終盤、2位以内または優勝という自分たちの目標達成がなくなり、下位に低迷している中で、なんとしても来年もう一度その目標に挑戦するために、JFL残留をつかみ取るんだと決めてやってきました。
最後の最後までどうなるか分からないプレッシャーがかかる中でも、それをしっかりとつかみ取れたことに対しては前向きな気持ちがあります。ただ当初の目標には全く届いていないので、それを来年以降どうひっくり返すのかということを今は考えています。
――入れ替え戦も控えたモチベーションの高い相手を無失点で抑えました。守備面はいかがでしたか。
前期と比べ自分たちのオーガナイズが整って、ほとんどのことが想定内でできている感覚があります。やられたなというシーンもあまりないですし、みんなが共通認識を持って凡事徹底をしっかりとして、一瞬の隙も作らない集中力を持ってそれをやれているからこそだと思います。
それを残留争いというプレッシャーがかかった中で、メンタリティーの部分も含めて積み重ねることができたと思います。
――チームとして今季はどんな経験になっていくと思いますか。
選手だけでなく、みんなが苦しいシーズンでした。この苦しさをどんなものにしていくかは来年以降にかかっていると思います。
全力を尽くしながらも、それでも足りないことを痛感したので、色々な角度から自分たちを見つめ直したい。理念を大事にしながらも、勝利で届けられることがたくさんあるということはこの3年間で強く感じたので、とにかく力を付けたいです。
黄誠秀
――現役最後の試合となりましたがいかがでしたか。
他のチームの結果次第で自分たちがどうなるか分からないという状況でしたけど、まずは自分たちが自力で残留できるという条件だったので、他力ではなく自力で必ず残留しようという気持ちで挑みました。
キタジさんから僕をスタメンで使うか悩んでいると打ち明けてもらったんですが、「とにかく自分は全力を尽くす」と伝えました。自分を信じて使ってくれたキタジさんのためにも、そして、このクリアソンは何があっても降格してはいけないと思ったので、自分の最後の使命として全力を尽くそうと覚悟を決めていました。
一緒に戦ってくれた仲間やスタッフにも、感謝しています。
――自力での残留を決めましたがいかがですか。
まずはホッとしました。まだ正直引退する実感はないんですけど。
これが最後だと思うと、結果にも安心しましたけど、とにかくこのメンバーたちとプレーできたこと、そして6年間プレーさせてくれた丸さん(代表 丸山)には本当に感謝しています。