クリアソン新宿は2月、新宿区立花園小学校6年生の総合的な学習の時間「レッツ! トライ! 弟子入り」に協力しました。花園小の6年生が数名ずつのグループに分かれ、学校近隣の10の商店や飲食店などにそれぞれ出向き、仕事について学び、職場体験を行うものです。

実施までの経緯
クリアソン新宿が、地域の方々と一緒に新宿にどのような価値を創出していっているのか。法人パートナーであるKPMG ジャパンとともに、社会的価値可視化プロジェクトを行っています。
その一環として、昨夏の「地域パートナーミーティング」で、子どもたちの課題解決をテーマに話し合い、クリアソン新宿が持つ強みとステークホルダーの経営資源を生かしながら活動できる一つの方法として、職場体験というアイデアが生まれました。

花園小学校で実現できないかと相談したところ、コロナ禍前には同校が類似した体験学習を行っていたことがわかり、それを発展させる形で実施することとなりました。事前学習の機会を設けること、また、新たな受け入れ先も加わりました。

参考記事:KPMG ジャパンと考える、スポーツが社会に創出する価値 #2 「ホームタウン新宿では今、何が問題になっているんですか?」
子どもたちと一緒に学ぶ
“弟子入り”は2月の2週間の中で2度、子どもたちが受け入れ先を訪れて学ぶ形式でした。受け入れ先の中には、クリアソン新宿の法人パートナーも含まれています。
花園小はクリアソン新宿のオフィス近くにあり、選手たちが受け入れ先までの子どもたちの引率を務めた他、受け入れ先の一つにもなりました。2月19日には、竹内諒太郎と齊藤和樹が、クリアソンの試合を案内するチラシを配る活動などを子どもたちと共に行いました。

2月27日には、森村昂太と伊勢太一が子どもたちと共に、サッカークラブの仕事について考えたり、自らの経験を話すなどしました。
多彩な”弟子入り”
2時間弱の職場体験で学べる内容は、選んだ先によって様々でした。創業から140年以上の歴史を持つ遠藤材木店を訪れた3名は、社長の遠藤通郎さんを前にやや緊張の面持ち。大小様々な木材に囲まれながら、木材の種類や加工について教わったり、長い材木を持つには肩を支点にすることなど、実際に木を持たせてもらい学んでいました。

以前から子どもたちを受け入れていた文明堂東京では、お菓子を入れる箱を折ったり、工房に隣接する直売店の店先に立つことを体験。

飲食店の銀だこでは、テーブルを拭いたり、開店前の準備を一緒に行っていました。香名屋では、そば作りを体験して学びました。

受け入れ先の人を驚かせるほどの頑張りを見せる子どもたちもいました。
体験前には、クリアソン新宿の法人パートナーでもあるKPMGジャパンの協力による「お金の”循環”」に関する講演など、事前学習をしていました。物々交換から始まった貨幣の歴史や、価格の中の原価や利益について、地域で使ったお金の一部は税金として新宿区に納められ、学校や図書館など身近なところにも繋がっていることなどを学びました。
コメント
クリアソン新宿 竹内諒太郎
クリアソンへの職場体験の受け入れを担当させていただきました。職場体験に来てくれた小学生には、サッカークラブがどのように成り立っているのかを簡単に説明した後、実際に開幕戦案内のチラシ配りなどを体験してもらいました。
クリアソンの選手は、サッカーをするだけではなく、ビジネスの部分など他の活動もしていることや、サッカークラブは地域との関わりによって成り立っているということを、実際に自分でやってみることで、学んでもらえたと思います。
お店にチラシ配りに行く際には、最初から最後まで小学生自身が行い、自分たちはそれをサポートするという形でした。怖いもの知らずな小学生は、どんどんお店を回っていき、チラシをほぼ配りきってくれました。
自分も子供たちを見習って、そういった姿勢を忘れずに頑張ろうと思うことができました!
本当に素敵な機会をいただき、ありがとうございました。
花園小学校
本校では、地域の皆様にご協力をいただき、平成19年度より6年生で「レッツ!トライ!弟子入り」という地域学習・職業体験学習を行ってきました。普段は地域の行事でお世話になったり、お客さんとして利用させていただいたりしている方々に子供たちが弟子入りして、地域で働く人の努力や苦労、喜びを間近で感じ、仕事に取り組む姿を学びます。 4年ぶりの実施となった今年度は、放課後のランニングスクールでもお世話になっているクリアソン新宿様の地域事業とコラボレーションして実施することができました。
弟子入り先で働いている方々(師匠)から優しく丁寧に仕事を教えてもらう中で、子供たちは仕事に対する師匠の思いを知るとともに、師匠の偉大さを実感することができました。 弟子入り後には、どの子供も「たぶん自分の弟子入り先が一番楽しかったと思う!」と充実感の溢れる表情で体験を報告してくれました。
効果測定
「レッツ!トライ!弟子入り体験」の企画は、クリアソン新宿が考える地域の子どもたちの課題のうち、「子どもの生きる力を伸ばす教育」「地域への愛着の向上」の解決に主眼を置いています。社会的価値可視化プロジェクトの一環として、KPMGジャパンにより、実施によって創出できる価値及びその価値の算定方法が設計され、参加した子どもたちに対して、4段階評価と自由回答によるアンケートが行われました。
そのまとめは、
①いずれの企画も高評価であり、特に外部との接点を有する企画(講演・弟子入り体験)については総じて評価が高い。
事前学習の活動(平均3.43、標準偏差0.66)、「お金の“循環”」に関する講演(平均3.40、標準偏差0.49)、お店への弟子入り体験(平均3.86、標準偏差0.35)
②短期のアウトカム(地域のお店への興味関心、学習機会・考える機会・発言機会の増加)については、一定の評価がされ、価値創出に貢献できた。
弟子入り店舗への興味関心(平均3.52、標準偏差0.50)、弟子入りしていない店舗への興味関心(平均3.38、標準偏差0.58)、学習機会・考える機会・発言機会の増加(平均3.05、標準偏差0.65)

一方で、年1回だけの企画では中期~長期のアウトカムへの成果は見えにくく、継続した活動、もしくは工夫を施す必要性がある、という今後の課題も見えました。