木村共宏

本質論

今回は本質論・そもそも論の話をしたいと思います。

本質を捉えろ、とよく言います。本質が捉えられていないと、表面的な理解で終わってしまいます。そうすると一を聞いて一を知るだけになってしまい、十を知ることはできません。思考が深ければ話に厚みも出ますし、気付きも得られてより理解が深まります。
本質を捉えるには「そもそも何?」という問いを繰り返して、深く思考を掘り下げる必要があります。
例えば面接のマニュアルに「面接官が3人いたら、3人の目をバランス良く見て話しましょう」と書いてあったとします。これを読んでそうするだけだと、一を知るだけになります。
ですが、もう一歩深く考えることが大事です。そもそもなんで3人の目を見るんでしょうか?一人じゃだめなんでしょうか?目以外は見なくていいんでしょうか?

僕なりの答えを書くと、面接は自分のことを話して、認めてもらう場ですので、相手が納得しているかどうかが重要です。そうすると、自分の言ったことが面接官にちゃんと伝わっているか気になります。
人が自分の話に納得しているかどうかを確認するには、その人の目を見るのが一番です。面接官が3人いれば、一人だけOKでも残りの二人が×なら落ちてしまいます。従い、自ずと3人の面接官の目を見ながら、自分の話が三人にうまく伝わっているかを確認しつつ話すことになります。マニュアルに書いてあることの本質を考えるとそんな話になります。
マニュアルに書いてあることを表面的に実行するだけではその他大勢と変わりません。アタマ一つ抜け出すには、一歩進んで、本質を理解する必要が有ります。

ちなみに更に考える人は「目だけでいいのか?」と考えるかもしれません。例えば面接官が「その話はわかったので次の質問に行こう」と思っている場合は、学生の話の切れ目で次の質問をしようと構えているので口元が動こうとしています。そういう時は、自分の話をうまくコンパクトにまとめて手短に終え、次の質問を待つのが最善の策です。これができると非常にいいテンポで会話のキャッチボールができます。
結局、「面接官全員の目を見ろ」という記載の本質は、相手の立場に立って、相手の気持ちを察して、それに適切に対応する、というごく当たり前のことに行き着きます。その本質がわかれば、目を見て納得してなさそうなら言い方を変えてみればいいし、口元を見て何か言いたそうなら次の質問を予知して対応すればよい、ということになります。一を聞いて十を知るに通じるところです。
訓練としてはトヨタの5WHYが参考になりますのでネットで調べて実行してみてください。いつも「なぜ?」を5回繰り返すと本質に迫れます。小さい子はいつも「なんで?なんで?」と聞きますが、そういう原点に帰ることが大事かもしれません。

木村共宏

kimura

工学部卒業後、総合商社にて18年勤務。海外営業12年、人事6年。採用チームのリーダーも務める。2015年に退職し、現在は地方創生、人材育成、各種事業支援等を行う。