試合と練習
すべてのスポーツに共通するものがあるとすれば、試合と練習があることではないでしょうか。
プロ野球の日本シリーズや、欧州サッカーのチャンピオンズリーグのようなバリバリのプロアスリートの世界であっても、少年野球や少年サッカーのようなジュニアスポーツであっても同様です。
プロとジュニアでは時間軸に違いはあるものの、試合に勝つために、試合で良いパフォーマンスをあげるために、日々のたゆまぬ練習がある、そういう関係だと思います。
高いレベルでスポーツをやってきた人が、ビジネスの世界でも歓迎されることが多いのは、「成果に向けて日々努力する」という行動原理に対する期待があるからかもしれません。
しかしながら、、、実際はキレイごとではないと考えています。
スポーツとビジネスの共通点を挙げることは確かにできますが、根本的に難しいのが、この試合と練習というシンプルな関係がしっくりこないことではないでしょうか。
ビジネスにおける試合と練習とは何でしょうか。
営業職でいえば、試合はプレゼン??商談??
そのための練習にあたるものとは?
ビジネスパーソンの中で、日々の仕事に「試合」を見出している人は稀だと感じます。
レギュラーの人数枠を巡る熾烈な戦いがあるわけでもなく、突然の戦力外通告があるわけでもなく、契約更改で生活が一変することもない、そのような環境で働くビジネスパーソンが大半ではないでしょうか。
それが一概に悪いこととも言い切れません。ビジネスは中長期にわたり、綿々と築き続けるもの。プレーヤーのピークもスポーツのそれとは比べ物にならないほど長いですから。
しかしながら、そのピークの長さが緊張感の欠如を生み、「試合」を失わせているとしたら。そして、仕事に「試合」を見出していないがゆえに、日々のたゆまぬ練習を怠っているとしたら。
この試合と練習の曖昧さが、ビジネスパーソンとしての成長を阻害する理由の一つかもしれません。
以前、クリアソンの企画でトップアスリートと交流する機会をいただいたときのことです。
オリンピック出場経験のある元トップアスリートの言葉が印象的でした。
「ビジネスの世界に足を踏み入れたとき、苦労したのはモチベーションの持ち方です。それまでは、オリンピックに出場する、オリンピックでメダルを取る、というモチベーションで日々やってきました。ところが、いざビジネスの世界に来たときに、そのレベルのモチベーションをどこに見出せば良いのか、とても苦労しました。」
日々の仕事に「試合」を見出しているビジネスパーソンは強い。
そう思います。
株式会社プロコミット 代表取締役社長 清水隆史