なぜブラインドサッカー®研修を続けているのか?

4月、5月は企業・団体が新人を迎え、新入社員を対象とした研修が数多く行われる時期です。

「どうすれば、効果が上がるのか?」

「参加者に楽しんでもらいながら、多くの学びを得るには?」

そんな悩みを抱えながら、研修内容を決めている人事担当者も多いかと思います。

社会人として必要なマナーやスキルを学んだり、会社の歴史を知ったりと、内容は様々です。その一つとして、パラスポーツのブラインドサッカーを活用したユニークな研修を導入してる企業・団体もあります。

パラスポーツと研修のイメージは、結びつかないかもしれません。しかし、数年に渡って、この研修を導入している企業・団体は、なぜ、ブラインドサッカー研修を続けているのでしょうか。

研修現場に伺い、人事の研修担当者の方や体験した新入社員の声を集めてみました。

◆体を動かして、コミュニケーションを学ぶ

株式会社Criacao(クリアソン)は、特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会(以下、JBFA)と業務提携し、企業・団体向けのブラインドサッカー体験型チームビルディング研修「OFF T!ME Biz」の企画運営を行っています。ブラインドサッカー選手と共に会場を訪れる講師も務めています。その1人が株式会社Criacaoの取締役COOで、JBFA事業推進部長も務める剣持雅俊です。サッカークラブCriacao Shinjukuの現役選手でもあります。

剣持は、駒崎広幸選手と共に、2022年5月に行われた朝日新聞社の新入社員研修で講師を務めました。

次から次へと多くのインプットをする研修の中で、スポーツの話があるのは異色です。冒頭は、「ブラインドサッカー」について、見たことがある、聞いたことはあるという程の参加者に対し、スライドを使って、競技のルールや視覚障がい者の現状、JBFAの活動内容、このような研修を行っている理由といった説明がありました。

その後、体を動かすことが始まりました。準備運動から、見慣れたものとは違っています。見えている人がアイマスクをした人に言葉で説明して、講師の選手と同じ動きをしてもらいます。

次に、アイマスクをして、見えない状態の中で動くことに慣れていくワークから始まりました。ボールから出るシャカシャカという音を頼りに、アイマスクをしながら歩くこと、仲間の声を頼りに、床に置かれたボールを探して触れることを初めて体験していきます。

【参加者の声】

「視界がふさがれた状態になって初めて、目の見えない方々の苦労を自分ごととして捉えられたように思います」

 

「アイマスクのようにわかりやすいハンデではなくても、人それぞれ足りないところがあると思うので、そういうときは周りに頼ることも大切だと感じました」

続いて、全員がアイマスクをしたまま、声によるコミュニケーションで、血液型や誕生月など同じ特徴を持つ人がグループになるワークです。

【参加者の声】

「視覚がない中で、声によるコミュニケーションを行ってみると、声の大きさや具体的な内容が大切だということがよく分かりました」

 

「相手に関してわからないことは、ためらわずまっすぐ言葉にして聞く、という当たり前のことがとても大切で、それはどんな相手であろうと普遍的なものであると実感しました」

声だけでコミュニケーションをとることに慣れてきた後半は、全体を二つのグループに分け、全員で考えながら目標達成を目指すワークです。正方形の四隅に人が立ち、アイマスクして真ん中にいる人が、周りの人が持っているボールにタッチする回数を競うゲーム。音や声を頼りにボールを蹴って、コーンに当てる回数を競うゲーム。一回終えるごとに全員で議論し、どのようにすればやりやすいのか、回数を増やせるのかを考えます。

 

【参加者の声】

「身体を動かすことで、スポーツの良さをより実感できた」

 

「体験してみることで、こういう事例があるんだなと、一知識に留まることなく、今後はこうやって動こう、と次からの行動に繋げられると思います」

 

「一番は同期とのコミュニケーションが取りやすいという点です。また、チームで目標を立てることで、自然と協力関係を築くことができたと感じました」

時間が経つにつれて、お互いが話す量が増え、笑顔も増えました。今日の学びから今後どうしていくのかを紙に書いて、お互いに宣言した後、剣持が「今日学んだことは、仕事のコミュニケーションではもちろん、街で視覚障がい者を見かけた時にも活かして下さい」と話し、3時間の研修を締めくくりました。

◆株式会社Criacaoが、JBFAと協業する理由

株式会社Criacaoは2013年の創業当初からJBFAとの協業が続いています。企業研修コンテンツの企画・運営のみならず、子供向けの体験会の運営や、JBFAパートナー(スポンサー企業)の開拓などを共に進めてきました。その間、一貫して関わり続けている剣持はJBFAとのパートナーシップについて「混ざりあう社会の実現に向けて、スポーツの価値を深掘り、言語化をし、体験することの豊かさを広め合う関係」と話します。

株式会社Criacaoにとって、ブラインドサッカー研修を続けている理由は「スポーツの価値を通じて、真の豊かさを創造し続ける存在でありたい」という経営理念を体現している事業の一つだからです。見える人と見えない人の間のコミュニケーションといったブラインドサッカーならではの価値を活かして、関係性が築かれ、視覚障がい者への理解も変わる。スポーツには、人の心を動かし、心を溶かし、一つにすることができる力があります。

ブラインドサッカー研修を2016年から新入社員研修の中に取り入れている人事部の担当者の方も、そこに含まれている多面的な要素に気づかれています。

【朝日新聞社人事部・住田達彦氏】

「実際に視覚障がいの講師の方が参加して下さることで、障がいへの理解、多様性の理解も気づきとして得られる。社員同士のコミュニケーション、同期のつながりを構築していくには、スポーツを使った研修は効果的であると思う。スポーツを通して楽しく、まじめに学ぶことで記憶にも残る研修だった」

体験することで障がいへの理解が深まる。体を動かしながら、楽しく笑顔で盛り上がり、絆も生まれる。ブラインドサッカー研修を紹介しました。

ブラインドサッカーという新たな研修を取り入れ、楽しく、体を動かしながら社員研修を行うことに「興味がある!」「体験してみたい!」という方は、お気軽にこちらからお問い合わせ下さい!

剣持雅俊
株式会社Criacao 取締役COO/Criacao Shinjuku 所属


1983年12月9日生まれ 神奈川県横浜市出身
2002年  桐蔭学園高等学校卒業
2007年  中央大学商学部経営学科卒業

2007年  ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社 外資系ヘッドハンティングファームにて、コンサルタントとして多くの外資系企業の人事役員、マネジメント候補者に対する人材コンサルティング業務に従事。

2013年~ 株式会社Criacao 創業 
創業者・取締役COO就任 
同年よりNPO法人日本ブラインドサッカー協会 
日本ブラインドサッカー協会のパートナーとなり、啓蒙活動・パートナー営業に従事。年間100件の体験会・研修を実施。

2016年より同協会のダイバシティー事業部 事業部長に就任。
2020年4月より事業推進部 事業部長に就任 D&I、大会、地域推進グループの統括