人を支えながら、何かが成長していくのは面白い chapter 11 土田雄弘

Criacao Index ~豊かさの体現者たち~

Chapter 11

土田は大学時代、サッカークラブ、Criacaoに創設メンバーとして加わり、介護事業会社とシステム開発会社を経て、4人目の社員として2015年に入社しました。総務などバックオフィス系の体制を築いたほか、幼児スポーツプロジェクトなどを運営する仕組みをつくり、クラブではコーチやリーグも務めています。経験のない新しい仕事に次々とチャレンジして、形をつくっていく、その想いを聞きました。

__現在の担当を教えて下さい

入社時からバックオフィス系で、当初はウェブサイトの担当や、総務と法務をやっていて、プラスで当時は新宿区との協働事業があって、その担当者もしていた。1年経たないぐらいから、経理も担うようになり、ブラインドサッカーのOFF T!ME(個人向け体験プログラム)や研修講師のほか、スポ育(学校向け体験型ダイバーシティ教育プログラム)の法人営業も担当しました。その間でキャリア事業にも関わっていて、自分も講師でさまざまなセミナーに行っていました。

入社当時は、キャリア事業を広げようとしていたのに、そもそも会社のウェブサイトがなかった。総務は、誰かが入社したら書類を提出するとか手続きをしないといけないが、やったことがなかった手続きを全部自分でやったことで仕組みを覚えられました。法律をきちんと押さえないと違反してしまうことにもなるので法務をやったり、その流れで経理も見るようになって広がっていった。前職での経験もなかったけど、当時の5人の中では自分がそれをやれば、他の人が得意なことに集中できるので、会社は大きくなると思っていました。

対外的な仕事では、アスリート事業部の幼児スポーツプロジェクトを、初年度からずっと担当しています。東京児童協会さんの理念共感から1度トライアルを経て、2018年10月にスタートしました。16カ所を6グループに分けて取り掛かるものの、実は何も形は決まっていなかった。力を貸して頂けるアスリートの方はある程度決まっていたけど、やりとりはどうするか、場所はどうするか、当日はどんな形でやるかなど自分が1人で講師と全ての園との連絡をしつつ、インターンや社員に声をかけて手伝ってもらいました。その流れを「型」にするというのが1年目。伊藤大介が加わるまでは、ずっと1人でやって、それをブラッシュアップしてきました。全部の仕事を比率で言うと、バックオフィス系が3割、クラブ事業部が5割、アスリート事業部が2割くらいかな。

俺はベンチャーに入ったんだな

__思い出深い仕事の場面を教えて下さい

たくさんあるけど、入社して最初の仕事が新宿区との協同事業だった。その仕事を勝ち取ったのは前年までインターンとして活躍した阿部でした。自分は前職を3月31日まで働いていて2015年4月1日に入社して、その翌週の土曜日に始まるので担当をしてほしいと言われ、しかも、当日現場で仕切れるのは自分しかいなかった。右も左も分からない状況で、これまでの経緯やどうやって決まったのか、その日までどんなものを準備するのか、先方の担当は誰なのか。そういうのをいきなり全部放り込まれた中で迎えた当日というのが、いい意味でも悪い意味でも「これがベンチャーで、俺はベンチャーに入ったんだな」とすごく印象に残っている。学ばせて頂いたというか、クリアソンの原点。そこで子供たちの笑顔を見たり、「他では体験できないことをありがとうございました」と保護者からも言われて、こういう経験というのは本当に大事なんだろうなというのをすごく考えさせられたのも覚えています。

__大変だった仕事や新しく開拓した仕事はどんなことですか?

新しく開拓した仕事で言うと、自分は0から1にするのはそんなに多くはなくて、ウェブサイトやECサイトは、そもそもどうやって作るのかと調べるところから入って、大変だったけど、新鮮だったり、新しい知識も得られて楽しかった。新宿区との協同事業や幼児スポーツプロジェクトは、始まりますというところで、「担当して」と言われて、それをどうやって運営していくのか、どう繋げていくのかという役割が自分は多かったです。1から10にしていくところ、何も形がないところから改善しながら今の形ができあがってきた。新宿区との事業は3年間だけだったけど、幼児スポーツは2021年以降も継続することが決まっているので、このあたりは自分がやってきたと言える仕事なんじゃないかなと思っています。

__お客様から教わった大事なことは何ですか?

何事も人と人で成り立っているんだと学ばせてもらった。自分が100パーセント以上で対応できていれば、いい意味で期待を裏切ってそれを超えて返ってくるし、そうでなければそれなりにしか返ってこない。

社内では珍しく、小学生や子供向けの事業を担当させてもらったことが多くて、新宿区サッカー協会の事業も小学生が相手だし、幼児スポーツプロジェクトだと、子供って純粋なので、話を聞いてもらうためにはどうやるかを考えたり、いかに夢中にさせられるかというところがやっぱりリアルに返ってくる。準備不足だった時の反応も、大人以上に返ってくる。自分は表情に出ないと言われるが、子供の前に行くとスイッチが入って、笑顔で、しゃべるスピードはゆっくり、声のトーンは明るく元気になる癖がついている。クリアソンは人の魅力で繋げたり、共感されるものも多いので、やっぱりそこが一番反映されるのかもしれない。

__仕事でのマイルールは?

1つは「自分の感性にうそをつかない」。自分がおかしいと思ったことに対しては、自分の中でうそをつかずに、違和感を伝えることはしたいと思っている。これまでやってきたことの中で、お金にはなるけど、「これって、この人のためになっているのかな」とか、「自分たちがやることとして本当に意味があるのか」と、ずっと抱き続けながらやると、仕事は絶対楽しくないだろうなと思ったのが、きっかけになっています。

もう1つは、「仕事と休みのメリハリ」。休みの日は、社内SNSの返信とかもしない。そうしないと、全力でやってくれている人に対して、自分が中途半端なことになってしまう。仕事に対する時間の大切さなどを自分の中で考えるきっかけとして、この2つができればいいなと思っています。

__Criacao入社前にしていた仕事は?

転職を2度していて、大学を卒業して3年間働いたのは、介護の会社。訪問介護でお客様の所にお伺いし、排泄、入浴の介護から掃除や料理を担当することもあり、最後の1年半ぐらいは事務所所長で、ケア担当としてお客様の所に訪問しながら、営業活動等もしていました。

この会社はさまざまな経緯があって事業分割されて、別の会社が引き取る形になりました。その時に会社のシステムが変わって、前の方が使いやすかった。システム1つでこんなに仕事のやりやすさが変わるんだなと感じた時に、元々人を支えることに興味があったのと、これからシステムの仕事は伸びてくるし、自分がつくる側になれたら良いなという思いを持つようになったのがきっかけで、自社内にシステム部門のある企業に転職し、システムの保守開発を5,6年していました。

即戦力が欲しい中、未経験でも教えて成長させてあげるよという会社の姿勢はありがたかったです。今もいろいろな新しいことを任されているので、仕事をやりながら学ばせてもらえる環境って、本当にありがたいなと思う。人を支えながら、何かが成長していくとか、変わっていくみたいなところが、自分の中では面白いなと思っています。

自分がやりたいのは部活の延長だ

__Criacaoを知ったきっかけと入社の経緯を教えて下さい

大学時代のサッカーサークルのメンバー数名が選抜チームに入って、そこで(社長の)丸山たちと仲良くなりました。サークルの場合、3年生で1度引退し就活に専念するのですが、当時は4月1日に内定が出たので、4年生はサッカーをやるところがなく終わってしまう。サッカーでも人としても一緒にやりたいメンバーを集めて、やりたいサッカーができる場を創りたいというのがきっかけで、誘ってもらいました。これがクリアソンの成り立ちで、その時の発起人の1人が丸山。卒業後も、年に1度大会に出たり年末に飲み会があったりで繋がりが続いていた中、丸山が最初の配属先の大阪から東京に戻ってくるタイミングで、「もう1回みんなで本気でサッカーしないか」と、(2009年から)東京都リーグに入ろうとなりました。

2012年会社設立、2013年創業を、自分はずっと横で見ながら、チームでずっと関わり続けていました。クリアソンの仕事は大変そうだなと聞いていた中で、2014年の6月ぐらいかな、丸山から一緒にやらないかと声を掛けてもらいました。前職はゼロから教えてもらって、当時はプロジェクトの中心メンバーとしてやらせてもらっていたから、声を掛けてもらってすごく嬉しかったのと同時に、もの凄く葛藤もありました。

大学時代は教員を目指していたものの、教育実習した時に「自分がやりたかったことって教員ではなく、部活の延長だ」と気づいた。みんなで切磋琢磨しながら、その中でああでもない、こうでもないと言ってやっているのが本当に好きだったんだなと。だからチームで人柄とか向き合う姿勢を知った上で会社に誘ってもらえたのが、自分が大切にしている感性のところをくすぐられて、すごく大変だけど、飛び込むんだったら今しかないと思って、1か月くらいで決断して返事をした。周りの人からは、「そもそも何の会社だ、それ」「絶対、やめた方がいい」とすごく言われて引き止められ、大事なプロジェクトもやっていたので、結局入社は2015年4月からになりました。

__あなたの考えるスポーツの価値を教えて下さい

自分らしさを表現できる場所とか、楽しいと思える場所を提供するのがスポーツなのかなと思っている。分解していくと、個人競技だろうと団体競技だろうと、スポーツを通じて学べることは、社会の中でもすごく価値があることがたくさんある。より複雑化してきている今の世界だからこそ、その価値がより大きくなっている。

VUCAの時代と言われていて、この先どうなるかわからない中で、スポーツは決まったルールはあるけど、展開は決まっていないことが多い。常に変化する。1人じゃなく、指導者なども含めて他者と関わりながら、その状況を改善していく、乗り越えていくというのを、普段の生活とは違った視点で学べるのは、大きな価値。人によってはそれを競技ではなく、楽しみの中でやっている。

__Criacaoを通じてどんな豊かさを創造したいですか?

誰もが自分らしく生きられるようになってほしい。クリアソンは、きれいごとを語ったり、目指したりできる場所だと思っている。クリアソンを応援してくれる人は、そこへの渇望があるんじゃないかな。かなわない人、あきらめる人もたくさんいるが、それもチャレンジできる環境があるからこそで、できないで我慢しなきゃいけないのは、乗り越える経験に繋がらない。それができるようになると、豊かさの体現者になる。クリアソンが何と言われようが、きれいごとを言い続けて達成することで、「それって言ってもいい世界なんだ」というところに繋がっていく。

具体的には、スポーツとのいい出会いをつくること。小さい1歩だけど、自分は子どもたちに関わることが多いから、「そんなことは大変だからやめた方がいいよ」と言われない環境でスポーツに出会えるか、やってもいいんだなという安心感があり、チャレンジできる場所をつくってあげたい。幼児スポーツプロジェクトで初めてスポーツに触れるのもそう。20年くらい続けていくと、また新しいコミュニティーになるんじゃないかな。長い、長い挑戦になると思う。