コロナ禍でも選手を身近に感じられる 世界一を目指すクラブが発信するYouTubeLiveとは?


株式会社Criacao(以下、クリアソン)では、2020年からサッカークラブCriacao Shinjukuの試合の様子をYouTubeLiveにてお届けしています。競技・企画 運営室の峰尾隼人を中心に、毎試合ひとつのテーマを決め、選手のストーリーや裏側を伝えるもので、一般的な実況とは違ったスタイルです。

新型コロナウイルスの影響で、クリアソン新宿を応援して下さる方々が思うように生観戦できない、今。そして「世界一のフットボールクラブ」に向けて、YouTubeLiveを通して、届けたい想いとは?

 

――YouTubeLiveの大きなテーマを教えてください。

一言で言ってしまうと、試合を解説しすぎないことです。試合の様子はカメラで追っていますが、あくまでもラジオ感覚で聞けるものを目指しています。うまい解説を聞く目的であれば、プロの方が解説をしているDAZNなどの方がクオリティは高いので、そこで勝負はせずに、選手のストーリーや身内話をすることで、より選手を身近に感じてもらうことを意識しています。

ラジオは映像がなくても楽しく聞けて、その場のイメージが湧いてきます。そんなところを目指していて、いつかクリアソン新宿の試合が放映されるようになっても、これは副音声として裏側で放送し続けていたいし、現地で試合を見ている人も片耳でYouTubeLiveを聞いてもらってもいいのかなと思います。

 

――2021年、前期の試合を振り返ると

前期は、新型コロナウイルスの影響で有観客試合を実施できたのは4月3日の開幕戦のみでした。そんな中で、クリアソン新宿の試合をYouTubeLiveを通じて、いろいろな方々に届けられたのは良かったです。選手のスタンス、考え方、ストーリーも届けられたと思います。「試合だけじゃなくて、選手のストーリーとかを知れて面白い」という声をいただけたり、クリアソン新宿らしい型が出来上がってきているのかなと思っています。

他にも、地域の方に出演いただいた際に、どういう取り組みで連携しているかの背景なども届けられているので、YouTubeLiveをきっかけに、いろいろな人のつながりを作れているのは、すごくいいなと思っています。今後は、大学生や高校生にも出演いただければ、面白いかもしれません。

個人的なところで言うと、知らないうちに顔が売れてきました(笑)。先日、フットボールパークでサッカーをやっているお子さんに「あ、YouTubeLiveの人だ」って言われて、少しずつ認知されていることを実感しています(笑)。

課題としては、視聴者数が昨シーズンからあまり変わっていません。毎回視聴して下さっている方は180~200人くらいでだいたい推移していて、アウェイチームのファンも見てくださる時は300~400人くらいまでいく時がありますが、裾野をあまり広げられていませんね。有観客試合ができない中で、ここの工夫は必要かなと感じています。

 

――企画ってどうやって考えているのですか?

ネタ帳を作っています(笑)。選手、地域、パートナーとかいくつかの軸からテーマを決めて、企画を細かく詰めていきます。「こういう人たちに届けたい」「こんなことを感じ取ってほしい」などを試合ごとに決めていて、(パートナー企業などとの)冠マッチの時はその企画にも紐づくように考えています。

 

――今シーズンで手ごたえのあった企画は?

ひとつめは、4月29日のブリオベッカ浦安戦での企画。一樹さん(森一樹・キャリア事業部)と、ふるしんさん(古川晋介・クリアソン新宿 OB/2012〜2015年在籍)、下小牧歩(Criacao Shinjuku Procriar キャプテン)に出てもらって、過去のクリアソン新宿のことを知ってもらいつつ、チームのいろいろな顔を見せられました。OBの方々にもクリアソン新宿の今を知ってもらうきっかけにもなり、1回でいろいろな方面にアプローチできたなと思っています。

もうひとつは、5月16日の流通経済大学FC戦で、結さん(鳥海結・クリアソン新宿元マネジャー/2015~2019年在籍)に出てもらった企画。結さんは昔から選手のことを知っているので、選手の関係性など、サッカー以外の人間模様をお届けできて、チャットのコメント数がすごく多い回でした。その時は、井筒陸也(クラブ事業部/クリアソン新宿キャプテン)と村下将梧(クリアソン新宿)の昔話を絡めながら愛があふれているという話をしていて(笑)。「愛」というひとつのテーマで、YouTubeLiveの出演者と、チャットでコメントを入れて下さる人とピッチに立つ選手が同じテーマでつながっている感覚があったので、「そういうやり方があるんだ」と発見になりました。

 

――苦労すること、困っていることは何ですか?

毎回トークネタを考え続ける必要があることです(笑)。毎週、毎週、どんなトピックで話したら面白いと思ってもらえるか、もう一回見たいと思ってもらえるかと考えているので、もっとたくさんの人が見てくれる内容は何か、どんな人に出演してもらうかは、ずっと考えています。

ハード面でいうと、理想ですがもっといい機材が欲しいです(笑)。試合会場の環境次第でどうしても画面が乱れてしまい、見てくれている人に良い映像をお届けできないことがあるので、「機材めちゃくちゃいいの持っていて、使っていいですよ」と言ってもらえたり、配信の協力をしてくれる仲間を探しています

 

――YouTubeLive見てくれている人に届けたいことは?

試合を見に来てもらった時に感じてほしいことと変わらないのですが、クリアソン新宿の試合を見ると「明日からも頑張ろう」と思えるとか、前向きな気持ち、温かい気持ちになれるようにしたいです。サッカーの面でいうと、前に前に進んでいくプレースタイルの選手が多かったり、サッカーのコンセプトもそうなので、そういう姿を見てもらって、皆さんの人生や今、向き合っていることに対して、前向きになってほしいなと思っています。

サッカーとビジネス、どっちもやると覚悟した選手たちも「つらいな」とか、「大変だな」と思うこともあるけど、それでも覚悟を決めて前に進んでいる姿を感じてほしいだから、僕らは選手の裏側の部分をしっかり伝えていきたいなと思っています。

いつか必ずYouTubeLIVE見てくれている人や、チャットをしている人とリアルで会いたいなと思います。「いつも見ています」と声をかけてくれる人がいたり、地元の自分の友だちでも見てくれる人がいたりして、そういう時に「ちゃんと届いてるんだな」と思います。だから、リアルとオンラインのどちらもうまく使ってもらいながら、一人でも多くの人に試合を見てもらえるとすごくうれしいです。