「ブラインドサッカーで社会を変える」 Facebookイベントにて、剣持と岡本が寺西選手とライブトーク

6月27日夜、Facebookにて「ブラインドサッカーで社会を変える」をテーマに約1時間15分のライブトークイベントを実施しました。ブラインドサッカー日本代表強化指定選手の寺西一さん、株式会社Criacao 取締役COO兼日本ブラインドサッカー協会(以下、JBFA)事業推進部長の剣持雅俊が登壇。ファシリテーターはアスリート事業部兼Criacao Shinjuku選手の岡本達也が務めました。


岡本は7年前にプロサッカー選手を引退した後、クリアソンでの仕事をきっかけにブラインドサッカーと出会いました。入社直後は、寺西選手と共にブラインドサッカーのイベントを実施するなど、ブラサカ部門でも業務を行っていました。

寺西選手は、15年前に視覚に障がいを負い、ブラインドサッカーを始めました。現在は選手として活躍する一方で、ブラサカ教室や講演会などで講師を務め、その価値を広める活動を行っています。幼少期から視覚に障がいがありましたが、完全に見えなくなったのは成人してからだと言います。

剣持は、クリアソン創業の年に、ブラサカ体験会に参加し、その魅力に惚れこみます。JBFAに自ら協業を提案し、アライアンスパートナーとして長く活動を共にしています。現在は、JBFA事業推進部の部長として国内外の大会統括や、研修や教室の統括を行っています。

3名から自己紹介があった後、ブラインドサッカーは健常者と視覚障がい者が同じピッチに立ってプレーをする珍しい競技であること。鈴の入ったボールや、ピッチサイドのフェンス、アイマスク等、視覚障がい者が競技を行うための特殊な道具を使うこと。国際大会には全盲の選手しか出場資格がないこと、といった競技の説明がありました。

その後、ファシリテーターの岡本を中心に鼎談する形となりました。

岡本:パラスポーツにおいて健常者と視覚障がい者が同じピッチに立ってプレーするのは珍しいんですよね。

寺西:そうですね。例えばマラソンとかで、健常者であるガイドが伴走をして、障がいを持っている選手と一緒に走る等はありますが、球技ではブラインドの競技を差し引いても、とても珍しいです。だからこそ、見える人と、見えない人のコミュニケーションはすごく大切です。

思い切って動けるっていうのが新鮮だった

岡本:ハジくん(寺西)は、もともといつからブラインドサッカーを始めたんですか。

寺西:14歳くらいです。当時、特別支援学校の寮に入っていて、そこにあったブラインドサッカーのチームで体験をしたのがきっかけです。サッカーをプレーしたことはなかったんですが、テレビで見たりとか、小学校の体育の授業で見たりしてました。それを見えない状態でやるっていうのは「どうやってやるんだ」と興味があって、百聞は一見に如かずだと思ってやってみました。

剣持:興味から入って、はまり続けた理由はなんだったの?

寺西:ブラインドの球技っていっぱいあって、それぞれに面白さがあると思っています。ただ、サッカーだけにある魅力は自由度がすごく高いことだと思っています。他に、ソフトボール、バレーボール、卓球とかいろいろあるんですが、それらの競技は仕切られた、制限をされた中でプレーをする。ブラインドの球技ってそういったものが多いけど、サッカーは、自分の判断でどこに動いてもいいですよって、すごく自由度が高くて、楽しいと思った。

見えないと日常生活の中で移動するにも、「段差ないかな」とか「ぶつからないかな」と考える。例えば、駅で線路に落ちちゃって亡くなっちゃうとか、危険がある中で生活しなくちゃいけない。そんな時に、ブラインドサッカーをしてみて、思い切って動けるっていうのを新鮮に感じたのかもしれない。

岡本:見えてる時は当たり前だったことが、見えなくなって制限された。それを解放してくれた感じですかね。

寺西:まさにぴったりな表現ですね。

岡本:僕は、ハジ君に会って障がい者のイメージが壊れましたね。知らないからどう関わっていいかわからない、どう接すればいいかわからないってことは、障がいに限らず、いろいろな側面であると思います。それをハジくんに出会って、「知るのって面白いな」とか、自分の人生が変わっていく感覚を教えてもらった気がします。

寺西:そんな代物ではないですが(笑)知っておくか、知らないかは大きいと思います。知ってから接するかどうかは、自分で決めればいい

剣持障がいって、生きづらさだと思っている。生活に生きづらさを感じるときに、社会から障がいと呼ばれる。最初は、そういった人が周りにいなかったので、出会った時に「かわいそう」と思ってしまっていた。「これは聞いちゃいけないのかな」とか「これはしてほしくないかな」とか考えていたけど、一緒に働くようになって、その一つひとつが当たり前になっていく感覚があって、知ることは本当に大切だと思ったね。

途中で、剣持からJBFAの活動についての説明がありました。
協会は、大会を主催する他、国内外でブラインドサッカー教室を開催したり、小学生向けにイベントや体験会、企業向けに研修を実施するなど、観戦と体験の機会を作っています。

剣持:見えていない人に対して、「なんで、できないんだよ」とか、他責にする人はいなくて、「どうすれば伝わるだろう」とか、自分にベクトルを向ける。これってアイマスクをしていなくても同じで「自分の言っていることが相手に伝わっているか」とか、上手くいかなかった時に「どうやって、できるんだろうか」と、そんなことを考えるマインドを醸成したいと思っている。

岡本「相手の気持ちを考えよう」とかって口で言うのは簡単だし、「そうだよな」と思うけど、実際に仕事とか、日常生活そうできているかと言われれば、できていないことも多いと思う。でもそれを視覚のない状態で体験して、僕の中ではパラダイムシフトが起こりましたね。

剣持:まさにそうだね。自分も研修をやりながら、いつも自戒の念を持ちますね。

岡本:ハジくんは、ブラサカの選手としてプレーしながら、健常者向けにもイベントをしたり、活動をしていると思うんですが、どんなことを感じているんですか。

寺西:イベントや教室の時間は1回でせいぜい2時間。2時間で変われる人っていないじゃないですか。でも、その2時間の後から、マイノリティーと言われる人に会った時に、「あ、これブラインドサッカーでやったことだよな」となるきっかけになればいいなと思っている。そうすれば、自分たちだけじゃなくて、いろいろな人が生きやすい世界になっていくのではと思う。自分がやっていることが、後々の自分を助ける。

岡本:最後に、お二人からひとこと下さい。

寺西:長い時間、お聞きいただき、ありがとうございました。今日をきっかけにブラインドサッカーというものに関心を持っていただけるきっかけになればいいなと思います。今日は貴重なお時間をありがとうございました。

剣持知り続けることをやめないっていうのが大事だなと思っています。自分はたまたま、ブラインドサッカーに出会っていろいろな活動をしています、何かアクションをして、体験して、自分の言葉にしていくこと人生が豊かになっていくと思います。今日をきっかけにいろいろなことを体験していただきたいですし、一緒に良い社会を作っていけたらいいなと思います。

剣持:達也からもひとこと言って終わろうか。

岡本:本日はありがとうございました。僕もブラインドサッカーに出会って、人生が豊かになったなと思っています。それがブラインドサッカーかどうかは別として、百聞は一見に如かずで、次のアクションを起こして欲しいなと思います。そんなところから、皆さんの人生も変わっていくと思いますし、ブラインドサッカーが目指す社会に向かっていくと思います。また、皆様にどこかでお会いできることを楽しみにしています。

寺西剣持岡本:本日はありがとうございました。