【ランニングで培うセルフマネジメント力】~Criacao Athlete College Vol.20~

アスリート、ビジネスパーソン、教員、学生…様々なフィールドで活躍されている方々が混ざり合い、学び合う事によって、それぞれが新しい価値を創造していくことを目的として開催している Criacao Athlete College

20回目となる今回は、2004年アテネオリンピックで陸上4×400mリレーで世界4位になられ、現在は0.01」という走りを通じて社会を豊かにすることを理念に掲げられている団体の代表を務められている伊藤友広氏を講師としてお招きしました。

「ランニングで培うセルフマネジメント力」を一つのテーマに、伊藤さんご自身のご経験や、現在の団体での活動を通じて培った考え方を言語化して伝えてくださいました。


二部構成の第一部では、「選手時代の学び」を切り口としてお話しいただきました。

伊藤さんご自身がアテネオリンピック後に怪我から始まるスランプに陥った際、自分自身の走りが分からなくなり、今までの感覚に頼った走りを改善しなければならない状態になりました。どれだけ練習すれど速くならない自分と向き合う日々は、本当に大変だったとのことです。

失敗経験としては、世の中の走りのトレンドや、一人の成功論者の考え方に振り回され、『走りの本質が見えていなかった』ことにありました。27歳の時に、中央大学の陸上部の短距離コーチに就任したことをきっかけに、教える立場になったことで走りを一から学び直しました。結果として、走りが速くなるための目的と手段をツリー図で構造分解して、目的に対しての最適解を見つけ出す考え方に至った時に、走りの本質理解に繋がりました。

その経験を通じて、客観的な走りの構造理解と、他者との関わりから外向きに視点が変化していったことが大きかったと話をされていました。

ここでの話を通じて、まとめとして、目標達成のためには

①専門知識があること

②物事の本質・構造理解をしようとしていること

③視点を外側へ向けようとしていること(専門領域外、自分→他者)

④学び続けていること

が大切であるとのことでした。


第二部では、現在代表を務められている「0.01」の走りを通じた社会課題の解決についてお話いただきました。

「0.01 は走りを通じて社会を豊かにする伴走者であり続けます」

という理念のもと、アスリートには走りのプロフェッショナルコーチングを通じて、効率的な走りによるスピードの獲得と怪我予防を。それによって走りを「武器」に。子どもには走り方教室を通じて、適切なコーチングとティーチングを行い、速くなることによって「自信」を。

小学校時代に運動会が嫌いだったと答えた方が40%もいるという事実から、走りによって自信をなくしている子ども達がたくさんいるという課題を解決すべく、走り方教室による自信獲得メソッドを確立しました。

他にも、ビジネスパーソン向けに皇居ランイベントや親子かけっこ教室、企業研修等を、走りのメカニズムを論理的に理解してもらうべく行っています。それによって理論的なセルフマネジメントの獲得や、正しい姿勢で走ることで、健康や美に繋げていく活動を行っています。

最後に伊藤さんは

・スポーツには人々を幸せに、社会を豊かにする大きなパワーがある。

・我々スポーツ側が本質やその構造を理解し、価値の再定義(一般化)を行う必要がある。

とスポーツ界がもっと広い視点を持つ必要性があることを述べて、会を終えられました。

 

参加者からは、「走りについてここまで考えたことがなく目から鱗だった。」「この考え方はビジネスにも通ずるフレームワークであった」と、非常に満足度の高い会となりました。