株式会社プロコミット 代表取締役社長 清水隆史

オンザボールとオフザボール

サッカーを見ていると、オフザボールという言葉を聞くことがあります。
90分間、22人が一つのボールを動かして競うスポーツですが、ボールが自分のコントロール下にある(それはドリブルであったり、明確な意図をもってなされるパスやシュートであったりしますが)時間はそれほど長くはないでしょう。

そして、ボールを自らコントロールしていない時間の動きがオフザボールと呼ばれます。

おとりになったり、相手ディフェンスの中でこまめにポジションを修正して局面の打開を試みたり。
私のような素人目にはほとんどわからないのですが、高いレベルのアスリートの解説を聞くと、
「誰々のこの動きが効いていましたねー」という話が良く出てきます。

どうやらこれには大きく二つの意味がありそうです。

「自分が成果を出すために(例えばシュートを決めるために)、ボールを持っていない間にも仕掛け続ける」「チーム全体で成果を上げるために、(おとりになるなど)する」

0763cdc6b3bc6869b0aa72694716cc0b_m

さて、ビジネスの世界ではどうでしょうか。

自分が成果を上げるためのオフザボールでいうと、「根回し」なんてどうでしょうか。
根回しというと、古臭く、本質的ではないように感じるかたがいるかもしれません。
しかしながら、ビジネスはあくまでも人間同士が介在して行われるものであり、そこに感情の機微が入らないはずはありません。であれば、それを制することは、自らのビジネスを有利に進めるうえで極めて重要な要素だといえるのではないでしょうか。
過度な根回し文化は組織を腐敗させますが、関係者に適切なタイミングで情報をインプットし、意見を聞くことは仕事上で有効であることも多くあります。

チーム全体への貢献でいうと、「縁の下の力持ち」という人は、ビジネスシーンでも存在します。
たとえばアシスタントの職にある人たちの仕事は、目立たないこともよくあります。直接、顧客と商談をしたり、仕入先と交渉することはないかもしれません。
ところがビジネス全体(ゲーム全体)を俯瞰してみると、「ああ、アシスタントさんのあの動きが効いていたなー」という場面は確実にあります。これを感じられるかどうかの感性は、チームで仕事をするうえでは非常に重要だといえます。

こう考えると、オンザボールとオフザボールは、ビジネスシーンでも有効な考え方だと思えてきませんか。

スポーツで使われる言葉をビジネスに当てはめてみると、本当に考えさせられることが多いです。
そう考えると自分たちの日々の会話や、TV観戦で解説を聞くときの面白さも増すのではないでしょうか。

株式会社プロコミット 代表取締役社長 清水隆史

株式会社プロコミット 代表取締役社長 清水隆史記事一覧